統一協会から郵送されてきた「反論」資料集
平田さん

「統一協会トップと安倍首相面談」報道も再調査拒否

 「統一協会の反社会的行為一掃のためには、政治が関係を断ち切ることだ。関係が続く議員は辞職すべきだし、そうしないのなら国民が審判を下そう」。こう訴えるのは日本基督教団の向島伝道所=京都市伏見区=の牧師、平田義(ただし)さんです。

 「これを見てください」。平田さんが示したのは、統一協会の京都の事務所が向島伝道所に送ってきた分厚い資料集。統一協会の解散命令に向け、東京地裁で審理が進んでいることに対し、「解散請求の要件なし」と訴え、その根拠とする協会の創始者、文鮮明の主張がこと細かく解説されていました。

 「資料は京都府内規模で郵送しているんでしょう。これだけ問題になっているのにあきれた。高額献金などでどれだけ多くの被害者が出ているのか、実態の調査もしようとしない自民党の姿勢が追い風になっているのではないか」。平田さんは怒りを募らせます。

安倍首相(当時)と統一協会会長との面談を報じた朝日新聞

 「朝日」9月17、18両日付は、統一協会と自民党との組織的癒着を改めてクローズアップしました。2013年参院選の公示直前に、安倍晋三首相と統一協会会長が自民党本部の総裁応接室で面談していた写真を掲載。選挙支援の確認をしていたと報じました。「ここまで関係は深かったのかと衝撃だった。統一協会から組織票をもらい、見返りに便宜を与えていたのではないか。疑惑は深まるばかりだ」と平田さん。

 統一協会との癒着をめぐっては、22年7月の安倍氏銃撃事件後、関係が次々と判明。自民党は、所属国会議員379人のうち約半数にも及ぶ179人の議員に統一協会と接点、関係があったとする点検結果の概要を公表しました。

 この中には石破氏自身も含まれ、協会側から献金を受けたり、パーティー券を買ってもらったりしたことがあると認めていました。しかし、理由や経緯については「政治活動の自由及びプライバシーの保護の観点から回答は控える」としてきました。

 真相究明にフタをする石破氏の姿勢は現在も変わっていません。それどころか、石破氏が任命した新閣僚20人のうち、牧原法相も含め12人に統一協会との接点があったことが明らかとなっています。

石破首相は面談時「幹事長」、説明求められる

 併せて、石破氏をめぐる新たな疑惑も浮上しています。日本共産党の志位和夫議長は10月2日の街頭演説会で、「安倍首相が協会幹部と面談した際、石破首相は当時、選挙を仕切る自民党幹事長だった」ことを告発。幹事長として同面談を知らなかったのか、自身の説明も含め実態解明が求められているにもかかわらず、石破首相は調査を拒否しています。

国政でも地方政治でも統一協会追及

 日本共産党国会議員団や「赤旗」による、統一協会=国際勝共連合の反社会的活動に対する暴露、追及は半世紀に及びます。1970年代から国会で政治との癒着の追及とともに、霊感商法による被害者救済を要求してきました。昨年、政府による統一協会への解散命令請求へと追い込むことができたのも、共産党の粘り強い論戦がありました。

 共産党が果たした役割は、全国レベルだけではありません。本紙は、イベントや講演会などを通じて統一協会が、京都選出の自民党国会議員(当時)5人と接点を持っていることや、地方自治体との関係を拡大しようとしている実態を暴露。各地方の共産党議員団が、行政と首長に対し、統一協会との関係を断つよう繰り返し要求してきました。

 京都市では、市長が実行委員長を務める「京都マラソン」で、統一協会がボランティア団体として参加している実態(17~20年)をつかみ、徹底した論戦と申し入れを実施。市長を追い込み、「統一協会は反社会的団体。関係性を断つ」と明言させることができました。

 総選挙を目前にして、平田さんは「政治が毅然(きぜん)と対処すること以外に、統一協会の問題は解決しない」と訴えます。