講演する砂川教授。放送行政に独立行政委員会制度を導入することを提起しました(11月9日、京都市内)

 「NHK・メディアを考える京都の会」は11月9日、放送行政に独立行政委員会制度を導入することをテーマにした講演会を京都市内で開催。日本民間放送連盟出身で放送制度やジャーナリズム論に詳しい、砂川浩慶・立教大学教授が講演しました。

 現在、日本でテレビ・ラジオを放送する、NHKと全国の民放局(全196事業者)は電波法に基づき、総務省から5年ごとに放送免許を交付される仕組みです。

 砂川氏は、政府が直接、放送免許権限を持ち、放送事業者をコントロールしているのは世界でも日本、中国、ロシア、北朝鮮など少なく、G7各国など先進国は「独立行政委員会方式」を採用し、政府と放送事業者が直接結びつかないようにしていると解説。

 導入が求められる背景として、国民の受信料収入で運営しているNHKが、予算・決算を国会で審議し、経営委員長の決定も国会同意人事になっているなど極めて民主主義的な仕組みがありながら、自民党長期政権の下で変質・形骸化していることがあると指摘。第2次安倍政権時代には、安倍氏を支援する財界人グループから会長が選出され、「政権への忖度(そんたく)が横行するようになった」と述べました。

ストレートニュースで政権批判が“ご法度”に

 この下で、政治報道が極端に消極的になり、2013年11月に強行採決された特定秘密保護法を巡っては、強行採決された日の夜のニュースで初めて同法について解説するという状況で、「今ではNHKスペシャルなどの特集番組では取り上げても、夕方や夜のストレートニュースでは政権批判の内容は“ご法度”」と語りました。

 1993年に、テレビ朝日の報道局長(椿貞良氏)が非自民勢力への政権交代を意図した報道をするよう指示したと報じられた、いわゆる「椿発言」を巡って、新聞報道からわずか2週間後に椿氏が証人喚問される事態に至ったのも、「放送免許を国が握っているから起こったこと」と述べ、「免許をたてにした権力によるメディアへの介入、圧力が最大の問題。それを排するためにも、他の先進国同様に独立行政委員会制度を導入すべき」と提起しました。