どうなる? どうする?「マイナ保険証」Q&A 京都社保協・松本隆浩事務局長
「マイナ保険証がない人は今後どうなるの?」「これから保険証存続の運動をしても遅いのでは」などの疑問に、京都社会保障推進協議会事務局長の松本隆浩さんに答えてもらいました。
今の保険証が使えなくなるまでに猶予期間があります
Q 12月2日以降は、マイナ保険証がないと病院にかかれなくなったり薬局で対応してもらえなくなったりするのでしょうか?
A そんなことはないので安心して下さい。現行保険証が使えなくなるまでには猶予期間があります。①健康保険組合のうち、協会けんぽは来年12月1日までは有効です。②国民健康保険は運営する自治体によって異なるので、自分の保険証を確認してください。京都市は来年11月30日までは使えます。③後期高齢者医療制度は、京都府の場合で来年7月31日まで使えます。
マイナ保険証を持っていない人全員に「資格確認書」が届きます
Q 保険証の有効期限が切れたらどうなるのか心配です。
A それも大丈夫です。今の保険証の有効期限が切れる前に、マイナ保険証を持っていない人全員に、保険証の代わりとなる「資格確認書」(写真下)が届くので、安心してください。基本カード型で、これまでの形とデザインも一緒です。
当初、法律上は申請が必要でしたが、運動や世論に押されて方針が変更されました。お住まいの各市町村や勤務先の健康保険組合から「資格確認書」が申請なしに発送されることになりました。有効期間も1年が最長5年に延長されています。
トラブルあれば「資格情報のお知らせ」の提示を
Q マイナ保険証の利用登録をしたのですが、病院でトラブルなく使えるでしょうか?
A 病院でのトラブルがいまも多く心配ですね。マイナ保険証を持っている人には、加入する健康保険組合から「資格情報のお知らせ」が届きます。病院窓口でトラブルがあった場合、マイナ保険証とセットで提示してください。「お知らせ」が届く時期は、加入する健康保険によって異なります。
マイナ保険証登録解除の受け付けが始まっています
Q マイナ保険証の利用登録をしたものの使うのが不安で、利用をやめたいのですが?
A これも運動の成果で、厚労省は10月28日から登録解除手続きの受け付けを開始しました。京都市では区役所・支所の保険年金課で手続きできます。国と自治体は、この登録解除の手続きをもっと丁寧に広報すべきです。
個人の医療情報を企業が利活用狙う
Q 各地でトラブル続きなのに、なぜ政府はマイナ保険証を進めるのでしょうか?
A 医療DX(デジタルトランス・フォーメーション、個人の医療情報の収集と活用)の第一歩となるからです。マイナンバー制度の利用で便利になると政府は言いますが、個人の医療情報を医療機関が利用するだけでなく、将来は、製薬会社や健康産業に提供し、活用させることも検討されています。個人情報保護が非常に脆弱(ぜいじゃく)な中で、人権侵害が心配です。
世論と運動が追い詰めている
Q そうは言っても、保険証の新規発行停止は目の前で、保険証存続の運動をして間に合いますか?
A 現行保険証の廃止は来年の12月1日で、あと1年猶予があります。世論と運動で政府を追い詰め、資格確認証は事実上、現行保険証と変わらないようになりました。さらに政府を追い詰め、マイナ保険証の押し付けをやめさせるチャンスになっています。
そもそもマイナンバーカードを保険証として使うためには、「申請」が必要です。医療を受けるために「申請」が必要と言うことは、いつでも、どこで、誰も安心してかかれる医療=国民皆保険制度の根幹を揺るがすことになります。医療を守るため、保険証残せの声をさらに大きく広げましょう。