綾部市・PFAS汚染「早期の流出対策、実態解明を」 住民団体が署名運動/国際的に危険性理解と規制進んでいる
昨年8月に綾部市の河川で国の暫定目標値を上回る有機フッ素化合物「PFAS」が検出された問題で、住民団体が汚染範囲の調査や流出対策を求める署名に取り組んでいます。
昨年8月23日の府の調査で、PFASの一種で発がん性が疑われる「PFOA」と「PFOS」の2種類が検出されました。天野川の1地点では、国の暫定目標値(PFOAとPFOSの合計で1リットルあたり50ナノグラム)の126倍にあたる2800ナノグラム。同川が流れ込む犀川の小貝橋付近で220ナノグラムでした。原因は、産業廃棄物の最終処分場の排水です。処分場から天野川への放流源水では4万9000ナノグラムに達していました。
今年8月の府の調査でも、小貝橋付近で暫定目標値を超える72ナノグラムを検出しています。
この事態を受け、汚染が確認された2河川流域に暮らす住民は今年6月、「あやべPFAS汚染から健康を守る会(準備会)」を結成。知事と綾部市長に対し、▽処分場からの流出を止める対策を優先する▽処分場周辺や下流域での土壌調査などによる汚染実態の解明――などを求める署名に取り組んでいます。
同準備会の呼びかけ人の一人で、処分場からも最も近くに暮らす芦田誠也さんは、「1年以上経っても問題が解決していない。この1年、頭の中はこの問題のことばかりで、憂鬱(ゆううつ)になる。一刻も早く実態解明と流出対策をとってほしい」と話します。
PFASをめぐり、世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関は昨年、PFOAの発がん性を「可能性がある」から2段階引き上げて「ある」に認定するとともに、PFOSを新たに「可能性がある」の分類に追加しました。米国は今年4月に水道水の基準値を、PFOSとPFOAの合計で1リットルあたり70ナノグラムから4ナノグラムへと大幅に引き上げています。
同準備会事務局の安富政治さんは、「国際的に危険性への理解と規制が進んでいる。汚染を止めるために産廃を埋め立てている地面をブルーシートで覆うなど、具体的な対策を行政が事業者に強く求めるべきだ」と訴えます。