新作ポスター(中央)を作成した学生たち。後方は過去の3作

 「痴漢・盗撮は深刻な性暴力です」と啓発するポスターの新作が京都市営地下鉄駅・電車内に登場します。性暴力を許さない社会の実現をめざし活動する京都女子大学(京都市東山区、竹安栄子学長)の学生有志による「性暴力撲滅プロジェクト」が手掛けた4作目。今年は、痴漢・盗撮を“軽視”する社会の風潮を変えることをめざして作り、同大学内で11月28日、制作発表会を開きました。

 今回のメンバーは、法、文、現代社会、家政各学部の13人です。発表会では、テーマの検討にあたり「痴漢」の言葉の意味を調べた際、「みだらないたずらをする」といった説明に違和感を抱いたことから、今回の問題意識を共有したことを紹介。“いたずら”という定義や迷惑行為とされる軽い処罰、被害者は喜んでいるという誤った情報などに、痴漢・盗撮被害を軽視する要因があると分析し、被害をなくすには性暴力ととらえる認識が必要だと説明しました。

 ポスターデザインは、水色の背景にオレンジ色の文字で「深刻な被害、軽視しない社会へ」と呼びかけ。紙を手で破るイラストに社会全体の認識を変える願いを込めました。

来年1月に学内で初の公開シンポ開催

 今年、新たにホームページを作成し、同プロジェクトの活動やポスター制作の経緯、「痴漢」に対する対応など、これまでの活動の記録と学生のブログを紹介するほか、来年1月15日に「わたしたちは痴漢・盗撮の軽視をなぜ許す?」と題する初の公開シンポジウムを学内で開く予定です。

 ポスターは、地下鉄駅・構内用100枚、電車内用420枚を作成し、全駅、車両内に掲示されます。

 同プロジェクトの活動は21年度に始動し、被害者に自衛を求める呼びかけをあらため、「加害を防ぐ」視点に変えた啓発ポスターを電鉄会社と共同して作成。だれもが安心して乗れる電車(21年)、駅や電車内の性犯罪防止(22年)、第三者による2次被害を許さない社会(23年)をテーマに毎年、取り組んできました。

 初参加の岩倉真衣さんは、「被害に遭ったことはなく目を背けて来たが、軽視してはいけないとの問題意識を持つようになった」と自身の変化について発言。昨年に続き参加した武田梨瑚さんは、ポスターを見た友人から「ハッとさせられた」との反応もあり、「性暴力をなくすためには、気づきや新たな認識を広げていく行動が大事だと思う」と話しました。

 会見には、京都市交通局の担当者も出席し、東西線車両にも防犯カメラを設置することを報告。竹安学長がメッセージを寄せました。

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