えん罪防ぎ人権が守られる社会目指そう 京都女子大の学生らシンポ/ ジェンダーの視点で事件分析も
えん罪のない社会を目指す活動に取り組む京都女子大学(京都市東山区)の学生らが12月15日、学内で「すべての人の人権が守られる社会~すべての人に公正な司法を」と題するシンポジウムを開き、えん罪被害者を救済する再審法改正の必要性を訴えました。
主催は、「京都女子大学イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ*)学生ボランティア」。女子大の特徴を生かし、女性が巻き込まれた3例(大崎事件、東住吉事件、湖東記念病院事件)を取り上げ、それぞれグループに分かれて、事件の問題点と女性に対する先入観を背景に犯罪者にされた視点を加えて、分析・報告しました。
各事件の弁護団や元被告本人からの聞き取りも行い、ジェンダーバイアスとして、▽「勝ち気な性格」「強い女」というレッテル貼り(大崎事件)▽取り調べ中に「母親失格」などの暴言で精神的に追い詰める(東住吉事件)▽被告人の好意を利用(湖東記念病院事件)—―などの経緯を指摘。共通する問題点では、取調官が男性のみだったことを挙げ、司法や法曹関係者の男女割合の均等化、ジェンダー教育によって性差による固定観念をなくす必要性を強調しました。
3例のうち、1979年に起こった大崎事件は、95年の再審請求から4次に渡って請求が棄却され、いまだに無実が証明されていないことを指摘し、再審法(刑事訴訟法の再審規定)改正の必要性を指摘しました。
また、捜査や裁判の過程で証拠とされる目撃者の証言が、思い違いや偏見で左右されることを参加者が体験する心理実験も取り入れて、えん罪が身近なことを伝え、すべての人の人権が守られる社会の実現に向けて、学び、行動することの大切さを呼びかけました。
*IPJ 犯罪者として疑われた無実の人を支援し救済すること、「えん罪事件」の再検証を通じて公正・公平な司法の実現を目指す団体。