アンケートへの協力を呼びかけながら行ったキャラバン宣伝(11月11日)

世論・運動と結んで論戦 「独自財源確保」明記し、全会一致で

 京都市議会11月定例会は11日、市立学校の給食費無償化を求める決議を全会一致で可決しました。日本共産党議員団と無所属の議員が今議会に共同提案した二つの子育て支援条例案は否決されたものの、論戦を通して議会を前に動かしました。条例提案の意義と子育て支援拡充に向けた今後の展望などについて、同議員団の加藤あい幹事長に聞きました。

加藤幹事長

現市長任期中と期限区切り

──学校給食費無償化を求める決議は全会一致で可決しました

 全会一致の意義は大きいです。内容も、これまでの議論から前進しました。

 決議では、全国で学校給食費を独自に無償化する自治体が急速に拡大し、「小中学校で無償化を実施している教育委員会は3割を超えている」と指摘しました。その上で、国による全国一律の予算措置が行われていないことから、「京都市として給食費の無償化を進めることは極めて重要」と強調。「現市長の任期中(2028年2月末)まで」と期限を区切って、「市として独自財源確保にも努め、給食費の無償化の道筋を付けるよう」求める内容となりました。

 昨年5月に可決した「小中学校給食無償化を求める意見書」では、国の責任で財源を全額確保するよう求めていました。今回、決議で「独自財源確保」での「無償化」実施を明記したのは初めてのことです。

──子育て支援のための条例提案が議会を動かしたと聞きます

 そうです。学校給食費無償化と、京都府内の26自治体のうち18自治体が実施している18歳までの医療費無料化の、二つの条例案を無所属の井﨑敦子議員と共同提案しました。

アンケートに回答230通

 残念ながら、賛成は共産党(14人)と井﨑議員のみで、条例案は二つとも否決されました。しかし、条例案を審議した委員会や本会議での討論では、共産党が論戦を一貫してリードしました。市民の切実な要望や給食費無償化や子どもの医療費拡充を求める粘り強い運動も力になっています。

 共産党議員団が取り組んだ子育て支援のために必要な要望を聞くためのアンケートには、約230通の回答が寄せられました。「声を上げたくても、どこに要望を出せばいいのか分からなかったので、このような用紙を頂けてとてもうれしく感じています」「私たちの汗と涙の税金を子育て支援などに有効に使ってほしい」などの意見が並びました。

 共産党はこうした切実な声を紹介しながら、論戦を展開。2事業に必要な約50億円の財源について、市は22年度77億円、23年度88億円と、2年連続の大幅黒字決算となり、徹底した予算の精査を行えば、財源は十分確保できると繰り返し主張しました。併せて、不要不急事業の見直しなどで、新たな財源の捻出も可能であることを示しました。

 一方、自民党や公明党は「首長の予算提案権を侵害する」「財源の根拠がない」などと主張。子育て支援を拡充することについて否定できないことから、議会の条例提案権は首長が認める財源でなければ行使できないかのような、「矮小化」する議論に終始しました。

地方自治体の一丁目一番地

──今後、子育て支援策拡充の見通しは

 松井市長の公約は、子どもの医療費は「府市協調による充実(15歳まで)と国への働きかけ」とし、給食費無償化は「総合的検討と国への働きかけ」とするなど、いずれも市独自の実施は消極的です。

 しかし、学校給食費は全会派一致の決議があり、何よりも市民の世論と運動があります。子育て支援は地方自治体の一丁目一番地の取り組みです。世論と運動としっかり手を結びながら、遅れに遅れた京都市の子育て支援策を必ず前進させたいと思います。

びっしりと書き込まれたアンケート用紙