北陸新幹線延伸計画を巡り、国土交通省が京都市営地下鉄東西線の建設工事を例に挙げ、地下水への影響を否定している問題で、実際には同工事の際に、シールド工法区間で101カ所の井戸の補償が行われていたことが、このほど分かりました。日本共産党の加藤あい京都市議の市への要求資料で判明しました。

 国交省は昨年10月、自民党京都府連へ同計画について説明をした際、京都市街地内で行うシールドトンネルについて、「基本的に水を通さない構造」と強調。その上で、市交通局の『市高速鉄道東西線建設小史』を引用し、市営地下鉄東西線の建設工事でシールド区間となった太秦天神川駅~二条駅間について、「『周辺の井戸への影響はほとんどなく、補償件数はゼロ』とされている」と述べていました。

 市は2022年に、日本共産党の平井良人市議の要求資料で、市営地下鉄東西線の建設工事の際、水位低下や枯渇などのために太秦天神川駅~御陵駅で290カ所の井戸の補償をしたことを明らかにしていました。

 これを踏まえ、加藤議員が先月、工法ごとに補償した井戸の箇所数について資料要求。市の提出した資料と説明によると、シールド工法区間の補償井戸数は、▽太秦天神川駅~二条駅の各区間はゼロ▽二条駅~御陵駅間の3工区では、西洞院が21、鴨川横断が39、東大路が41の計101カ所─としました。(表参照)

 シールド工法区間の補償井戸数は、補償した全井戸290カ所の約3分の1を占めていたことが判明。「地下水への影響はない」どころか、影響の大きさが浮き彫りとなりました。

 国交省は新幹線延伸による地下水への影響を否定し、府民の批判をそらすため、意図的に『建設小史』を持ち出し、補償のなかった太秦天神川駅~二条駅間を示したことになります。

国交省説明はごまかし

 加藤議員の話 市は延伸計画の懸念の一番に地下水への影響を挙げています。今回の市の資料で、シールド区間での影響の大きさが判明しました。国交省の説明がごまかしだったことは明らかで、延伸計画の中止を強く求めます。

「二条・太秦天神川間」のみを取り上げ、「補償件数はゼロとされている」と説明する国交省の説明資料