みきさん(左)と配偶者

 法律上の男性として女性と結婚した後に、自認する性の女性として生活を送っている、みきさん(仮名)=京都市=は、法的に性別変更を希望していますが、既婚を理由に変更が認められず、これを憲法違反だとして、京都家庭裁判所に申し立てています(昨年7月16日)。1月21日、裁判官が本人の主張を聞く審尋が行われ、同日、みきさんと配偶者、弁護団が京都弁護士会館で記者会見を行いました。

 性別変更は、「性同一性障害者特例法」で要件が設けられており、みきさんの場合、妨げになるのが「非婚要件」です。同性婚状態になることを防ぐためのもので、既婚者の場合、離婚を強要されることになります。

実態に合わない性別扱いのまま

 この日の審尋では、裁判官3人が、同性カップルとしての生活実態や心境などについて質問し、弁護士から、2人が婚姻を続けたい理由など尋ねました。

 会見で、みきさんは、裁判官に伝えたかった点として、「特例法」は、「離婚する」か「実態に合わない性別扱いのまま生きるか」の「過酷な二者択一」を迫るもので、社会や国から公的に保障される婚姻状態を維持したいとの思いをあげました。幸せに生きていくのは憲法で保障されているみんなの権利だと述べ、「結婚、離婚は当事者が決める事で、国に指図されて離婚するのはおかしいのでは」と話しました。

 家裁の決定で性別変更が認められなかった場合の離婚の可能性について問われた配偶者は、「基本的に離婚するつもりはありません」と意思表示。ただし、それによって、みきさんが女性として生きることがかなわないのであれば、離婚を選ばなくてはいけないと述べ、「でも、離婚が互いの幸せになる道かといえば、そうではない。離婚の選択を迫られるのはものすごく苦痛」と語りました。

「非婚要件」に立法事実の根拠ない

 代理人の水谷陽子弁護士は、昨年の申し立て以降、同性婚訴訟で違憲の判断が続いている(東京、福岡両高裁)ことを「追い風になっている」と述べ、同性婚を防ぐために設けられた「特例法」の「非婚要件」に、立法事実の根拠がないことは明確だと話しました。

 家裁の判断は、今年度内(3月)に出される予定です。