舞台あいさつで観客から贈られた花束を手にする(右から)安田監督、夏守さん、沙倉さん、山本さん(1月25日、大阪・シアターセブン)

“登場人物にまた会いたくなる”

「劇場で133回見た」ファンも東京から駆け付け

 自主製作ながら日本アカデミー賞の優秀作品賞、優秀監督賞など7冠に輝いた『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督(城陽市在住)は1月25日、監督のデビュー作『拳銃と目玉焼』から上映している大阪市淀川区の映画館「シアターセブン」で舞台あいさつに立ちました。

 監督のほか、安田作品の常連で助監督・山本優子役を務めた沙倉ゆうのさん、劇中映画のカメラマン役・山本拓平さん、同アクション監督役・夏守陽平さんが出席。安田監督らが登場すると客席から「アカデミー賞受賞おめでとうございます」の声と拍手が湧きおこりました。

 安田監督は受賞を報告するとともに、個性的な俳優陣に出演してもらったことで多くの人々に見てもらえたなどと出演者や観客に感謝を述べ、撮影秘話を語りました。

 NHKの連続テレビ小説に多数出演する山本さんには、演技力を評価して出演を依頼したこと、夏守さんに当初、劇中映画のスター役のキャストも考えたものの、個性が強すぎるためアクション監督役をしてもらったことなどを紹介。

 出演者を持ち上げながら、ときおり落としていく語りに、山本さんが「ネタは面白いけど、内容がよくない」「関西出身の監督の舞台あいさつに出るものではない」と絶妙な突っ込みを入れるなど、会場は終始笑いに包まれました。

安田監督デビュー作上映のミニシアターで感慨も

 沙倉さんは、監督デビュー作から上映してくれているシアターセブンで、再び作品が上映してもらえたことの感慨と、観客・支援者への感謝を述べました。

 作品を10回、30回見たという観客も多く、当日で133回目となるX(旧ツイッター)ネーム「emigon」さんも、山本優子役の扮装(ふんそう)で東京から駆け付けました。

 作品の魅力について「(主人公の)高坂新左衛門役の山口馬木也さんは、侍をうまく演じているというより、本物の侍が現代に現れたとしか見えない。まずそこに惹(ひ)かれた。門前に倒れていた新左衛門を世話する住職夫妻をはじめ、登場人物が本当にみんないい人ばかり。また会いたくなり、何回も見てしまう」などと語ります。

 36回目という京都市在住の女性も「テレビに登場していた安田監督の気さくな人柄に魅力を感じて作品を見た。脚本に一切無駄な部分がなく、悪い人が出てこないのがいい。登場しているみんなにまた会いたい気持ちになる」と話しました。