生存権取り戻すたたかい「いのちのとりで裁判」3月13日に京都訴訟控訴審判決/「支援する会」が報告決起集会

国が生活保護費を2013~15年にかけて段階的に引き下げたことを違憲・違法だとして、大幅な減額決定処分の取り消しや慰謝料の支払いを国や自治体に求めている京都の訴訟の高裁判決(3月13日)を前に、「京都 新・生存権裁判を支援する会」は2月11日、京都市内で報告決起集会を開きました。会場とオンラインを含めて約80人が参加。これまでの生存権裁判の歩みを振り返るとともに同裁判の意義について確認し合いました。
新・生存権裁判は、国が生活費部分を平均6・5%、最大10%(年間削減額670億円)引き下げたことに抗し、全国で起こした裁判です。「いのちのとりで裁判」と称し、29都道府県で31訴訟が争われています。昨年以降、地裁判決(6訴訟)は全勝。高裁は2勝3敗で、来月、京都訴訟の大阪高裁判決を迎えます。
集会では、尾藤喜弁護士が、「新・生存権裁判 どう闘い、どう展望するか」と題して講演しました。尾藤氏は、生活保護基準が、最賃や就学援助の給付対象基準をはじめ、医療・福祉・教育・税制など、多くの社会保障政策と連動しており、「生活保護基準は様々な制度の基礎。基準が上がれば他の制度も良くなる」と生活保護制度利用者だけの問題ではない裁判の意義を強調しました。
同裁判の起点となる保護費減額が、「生活保護費10%引き下げ」を公約に掲げた自民党(12年)が政権に返り咲いて強行したことを指摘。生活保護費引き下げの一方で、軍事費を増額し、一半導体企業に1兆円を投入したことについて言及し、自公政権を批判しました。
同裁判のたたかいを通じ、生活保護制度の役割や重要性について理解を広げるとともに、権利性を明確にした「生活保障法」へ改善させる運動の必要性などにふれ、「生活扶助基準の改善が社会保障制度改革の突破口になる。全国のたたかいと連帯して勝ちましょう」と激励しました。
意見交流では、原告の一人が、物価高騰のなかで、ぎりぎりの生活を強いられる実態を証言し、「健康で文化的な最低限度の生活とはいえないが、せめて、引き下げ前の状態に戻してほしい」と訴えた意見陳述の内容を紹介。大阪や名古屋、神奈川の訴訟の弁護団や支援者からも連帯のメッセージが寄せられました。
「支援する会」の吉永純共同代表は、20年前に老齢加算や母子加算削減に声を上げた京都での裁判闘争の歩みにもふれ、「京都にとって20年来のたたかいの総決算。〝生存権をわれわれの手に取り戻す〟重大な局面にある。力を合わせ頑張ろう」とあいさつしました。