医療従事者の増員と大幅賃上げを求めて、国立病院機構の労働者でつくる全日本国立医療労働組合(全医労)が2月28日、全国137支部で一斉にストライキを決行しました。京都府内では、同機構の4病院中、「南京都病院」(城陽市)支部が、始業から1時間のストライキを行い、京都総評傘下の他の労働組合の応援も受けて、現場の実態を訴えました。

 全医労は同機構との24年度の交渉で、常勤月額4万円、非常勤時給250円以上の賃上げを求めていますが、赤字を理由に基本給、賞与ともに人事院勧告を無視したゼロ回答です。

 国立病院機構は、全国140の病院を運営し、結核、感染症、がん、筋ジストロフィーなどの疾患、他の病院で対応しにくい医療や災害医療を担い、地域医療にも貢献しています。一方、職員の賃金は公務員水準に届かず、初任給ベースで年間60万円低い状態で、看護師の離職増と採用難による人手不足が続いています。

賃上げ要求「ゼロ回答」の一方で、防衛力強化資金に628億円返納

 労組との交渉で「お金がない」としていますが、岸田政権時に閣議決定した防衛財源確保法により、機構の積立金628億円を「防衛力強化資金」として国庫に返納(24年)しています。

 リレースピーチで、支部長の坂和真さんは、機構は赤字を口実に賃金アップに応じないが、法人資金2163億円のうち300億円で国家公務員と同水準の賃金にできると述べ、「いま賃上げができなければ、ますます看護師不足はひどくなる」と指摘。

 同書記長の山﨑美枝さんは、ナースコールが鳴ってもすぐに応じられない人員不足が常態化し「医療の質も担保できない」と実態を告発。「防衛費に回った返納金は、本来なら医療、介護、福祉、教育のために回してほしいお金。ベースアップだけでなく医療の充実のため、私たちの願いを聞いて」と訴えました。

 応援に駆け付けた、総評傘下の労組メンバーらが連帯スピーチを行い、「人手不足、離職者増は重なる思い」「国の低医療費政策に抗議する。賃上げと同時に診療報酬を上げるたたかいに力を合わせよう」などと激励しました。