原発は温暖化対策の妨げ 再エネ転換こそ電気代引き下げ、雇用生む/舞鶴市で原発ゼロ集会、明日香・東北大教授が講演
福井県の高浜原発から30㌔圏内に全市域が入る舞鶴市で、「原発ゼロ京都北部府民集会」(同実行委員会主催)が3月9日に開かれ、府北部の住民を中心に、オンラインを含めて200人が参加しました。集会後、デモ行進を行い、「京都北部から原発ゼロの声を上げ続けよう」とアピールしました。
主催者を代表し、吉本晴樹弁護士があいさつ。政府が原発の新増設をも推進する第7次エネルギー基本計画(エネ基)を決定したことを批判し、「原発ゼロの世論をさらに広げ、各地の運動と連帯しながら、若狭地域と京都北部での原発ゼロ運動をますます強めよう」と呼びかけました。
東北大学の明日香壽川教授が講演し、「原発は安い」「原発は温暖化対策に必要」と多くの国民は思い込まされているが、それは誤解であると指摘しました。原発の発電コストについて、政府がエネ基策定の議論で示した資料でも、太陽光を上回っており、「政府も『原発は安い』」と正面から掲げられなくなっている」と指摘。
また、米国ジョージア州のボーグル原発3、4号機の新設に伴い、建設費が電気料金に上乗され、電気料金の高騰を招いたという報道を紹介。日本でも、原発の建設費を電気料金に上乗せする仕組みの導入が狙われている、と警鐘を鳴らしました。
原発によるCO2削減効果について、原発推進機関として知られる国際原子力機関(IAEA)の分析で、1㌧当たりのCO2削減にかかるコストで原発が太陽光の6倍となっていることを示し、「同じお金をかければ太陽光のほうが原発よりも削減量が6倍になるということ。原発の新設は言うまでもなく、運転延長さえも温暖化対策を妨げるというものだ」と強調しました。
また、日本政府が原発推進の理由に挙げるデータセンターの増加に伴う急激な電力需要の増大をめぐり、政府系シンクタンク「電力中央研究所」でさえも急激な需要増大は予測していないと指摘しました。
その上で、自身や研究者などで策定した第7次エネ基に対する代替案「グリーントランジション2035」について解説。再エネ・省エネの大幅な導入で、電気代を引き下げ、年間約315万人の新規雇用を生むという試算を示し、エネルギー政策の転換には「最新で正確な情報発信や理解が大事だ」と訴えました。
日本共産党の小西洋一・舞鶴市議が情勢報告。宮津・与謝地域と福知山市での、原発ゼロや再エネ普及に向けた取り組みについて報告しました。
集会には、「バイバイ原発3・8きょうと」の参加者一同、日本共産党の倉林明子参院議員から連帯のメッセージが寄せられました。
集会後、参加者は会場からJR西舞鶴駅前までデモ行進を行い、再稼働反対や原発ゼロの実現を訴えました。