京都府が向日市で計画している「京都アリーナ(仮称)」の建設を巡り、京都府議会は3月7日、契約議案を賛成多数で可決しました。日本共産党は周辺の渋滞悪化などの問題や住民説明会も開催していないことなどを批判し、反対しました。

 同議案が提案された5日の本会議で、日本共産党の成宮真理子府議が質疑を行い、「具体的な説明会や意見聴取もなく府民・住民を置き去りにしている」と批判。10億円以上の公共事業を行う際に必要な第三者による「公共事業事前評価」を実施せずに契約締結を行うことは、手続き上も誤りだと指摘し「府みずから定めた制度で、実施しないのは道理がない。実施せよ」と要求しました。

 西脇隆俊知事は「2028年秋の開業に向け、早期に設計に着手する必要があることから追加議案として提案した」などと答弁。事前評価について、「複合的な観点からの評価をする必要がある」などとし、「スポーツ施設の在り方懇話会」や「向日町競輪場外部有識者会議」などで、第三者の意見を聴取したなどと強弁しました。

 成宮議員は、府立京都スタジアム(サンガスタジアム、亀岡市)の建設にあたっては公共事業事前評価を行ったとし、「府自ら定めた制度を『すっとばす』など道理がない。実施をすべき」と重ねて追及しました。また、周辺道路の整備や交通対策もなく、住民説明会を開いていないとし、「府民の理解を得られるものでは全くない」と批判しました。

 府の強引な進め方に対し、「向日町競輪場再整備とアリーナ問題を考える会」は3日、事前評価手続き実施を求めて申し入れを行いました。

 契約内容は、伊藤忠をはじめとする10社の共同事業体によるもので、建物の骨格部分の建設費で、金額は288億4000万円。総事業費は348億5200万円で、府が57年度までの債務負担行為を設定しています。