保団連主催の院内集会で「『保険証廃止』ありえない」とアピールする医師らと倉林氏(右から6人目)=2023年2月16日

実態調査から“メリット論”破綻を告発

 「倉林議員の問題の本質を押さえた質問は見事」「元看護師で、医療問題のエキスパートとして信頼を置いています」──。マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」押し付けに反対し、健康保険証存続を求める運動に取り組んできた人たちからは、日本共産党の倉林明子参院議員(副委員長)に寄せる〝熱い〟期待の声が上がります。

背景に財界要求狙い暴露し追及

 この問題を巡っては、日本共産党の態度や倉林議員の論戦は明確でした。そもそもマイナンバー制度に政府が執着するのは、財界の執拗(しつよう)な要求があるからです。日本経済団体連合会は既に2014年には、国民の税と社会保障の情報を一元的に管理する「共通番号」の導入を要求。22年4月には、経済同友会が「全国民のマイナ保険証の携行」を政府に提言していました。これを受け、河野太郎デジタル担当相(当時)が同年10月、24年秋の現行保険証廃止を明示しました。

 しかし、保険証廃止反対の国民世論が大きく広がる中、廃止延期を恐れた経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス代表取締役社長)は23年6月、「納期を守るのは日本の文化」と発言し、廃止時期の〝死守〟を政府に強く迫りました。

 その狙いは、大企業の社会保険料負担の軽減と、国民の個人情報の利活用にあることが明らかになっています。

 共産党は、こうした財界の狙いを暴露するとともに、政府自身が国民の所得、資産、社会保障給付を把握することで社会保障の給付を削減しようしていることを鋭く追及してきました。

参院厚労委員会で追及する倉林氏(24年4月18日) (「しんぶん赤旗」提供)

 現行の健康保険証をマイナカードに一本化する法案について、自民、公明、日本維新の会、国民民主が23年、賛成多数で可決した際は、共産党は立憲民主、れいわ、社民とともに反対し、健康保険証の存続を要求してきました。

 倉林議員は現場の実態をもとに、「国民の個人情報を守る上でも、国民の医療を受ける権利を守る上でも、健康保険証廃止は撤回しかない」と訴えてきました。

 特に、政府が主張してきた「マイナ保険証」のメリット論が破綻していることを告発しました。

 全国保険医団体連合会(保団連)の調査で、22年10月以降、5000カ所の医療機関でマイナ保険証に関するトラブルが発生し、患者にいったん全額請求した事例が753件に上っていることを示し、システムの運用中止と現行の保険証廃止の撤回を要求(24年4月18日、参院厚生労働委員会)しました。

 これに先立つ23年には、政府がマイナ保険証利用促進のために23年度補正予算案に887億円も計上していることを批判。「メリットが実感されれば利用率が伸びるという説明が、破綻していることを認めるものだ」(23年11月16日、同委員会)と指摘しました。

院内集会、座り込み行動に参加し関係者激励

 論戦だけではありません。健康保険証存続を求める運動を激励し、共同して闘いを進めてきました。保団連が健康保険証廃止の撤回を目指して、国会議員会館でたびたび開催してきた院内集会には、その都度参加し、連帯のあいさつをしてきました。また、健康保険証の新規発行が停止となった(24年12月2日)ことを受け、さまざまな団体が共同して行った「マイナ保険証押し付けに抗議する座り込み」や集会にも参加。「共に断固頑張る」と訴えてきました。

 粘り強い運動と世論や国会論戦が実り、政府は対応を一定変更せざるを得なくなっています。保険証の代わりとなる資格確認書について、法律上は申請が必要ですが、有効期限最長5年とした上で、申請なしで送付されることになりました。

あらゆる力を尽くす先頭に

 マイナ保険証に固執する政府が追い詰められるもと、通常国会が1月24日、開会しました。共産党は議員団総会で「健康保険証の存続を求め、他党に積極的に働きかけ、あらゆる力を尽くす」ことを表明。倉林議員はその先頭に立つと訴えます。

 医療関係者をはじめ、多くの団体や国民が健康保険証の存続を求める中、倉林議員への期待が一層、広がっています。

 

井上美佐氏

本質捉えた追及 なくてはならない存在

全国保険医団体連合会副会長、大阪府保険医協会副理事長 井上美佐さん

国民の医療情報もうけのタネに

 保団連をはじめとするさまざまな団体の運動や世論で、政府を追い詰めています。保険証の代わりとなる資格確認書は、法律上は申請が必要ですが、当分の間は申請なしで送付されることになりました。高齢者や障害のある人は、マイナ保険証を持っていても受診が困難な場合には、申請の上で、資格確認書が送付されることになりました。

 それでも政府がマイナ保険証一本化を進めるには理由があります。一つは、国民の医療情報を利活用して大企業の大もうけのタネにすること。もう一つは、国民の所得や社会保障給付をマイナカードにひも付けることで把握し、医療費を抑制しようという狙いです。

 倉林議員の論戦は、こうした政府の狙いや問題の本質を押さえ、論理立てて追及する見事なものです。それだけではありません。私たちは何度も国会に足を運び、厚生労働省と交渉してきましたが、その際には政府とのパイプ役になり、運動を激励してくれています。

 私たちの議員へのスタンスは、運動に合致し協力してくれる議員を応援するというのが基本です。私たちの健康保険証存続を求める運動にとってなくてはならない存在で、再選がどうしても必要な議員だと思っています。