質問する倉林議員(昨年12月17日、参院予算委員会) 「しんぶん赤旗」提供

病床削減補助金やめ、医療機関直接支援を「地域医療崩壊する」

 倉林明子参院議員は、国会論戦で、医療現場での人手不足や賃上げ問題、医療機関の厳しい経営実態などを取り上げ、政府の社会保障施策の転換を求めてきました。

 石破茂首相に対し、社会保障費抑制のための病床削減施策の転換を迫ったのが、昨年12月17日の参院予算委員会の論戦です。

 倉林氏は、コロナ禍で、入院や医療にかかることができないまま死亡した事例を挙げ、「必要な病床、スタッフがあれば救えた命があった」と強調。現在では、看護師不足による病棟の閉鎖や、コロナやインフルエンザのクラスター(集団感染)が続発する下、病床稼働率の低下などによって、病院経営が急激に悪化しているとし「必要な医療供給体制がこのままだと確保できない」と告発。全国地方独立行政法人病院協議会に加盟する病院で、7割が赤字だとし、「地域医療が崩壊してしまう」と述べました。

 医労連の調査では、全国の医療機関・介護施設で年末一時金を大幅に減らす回答が相次いでいます。

 ある中小病院では、ボーナスが17万円引き下げとなり、看護師の大量離職によって入院患者数延べ2300人に対応できなくなると予測されています。倉林氏は「医療・福祉の現場に物価高に負けない賃上げが全然届いていない。トリプル改定が行われたが、賃上げに結びついておらず、改定は失敗だったと認めるべき。公費の投入と併せて報酬の緊急再改定をやるべきだ」と迫りました。

 病院の経営状況が悪化するもと、政府は、病床を削減する医療機関に1床当たり400万円超を「補助金」として支給し、7000床規模を削減することを補正予算に盛り込みました。

 倉林氏は、これまでも1床当たり200万円超の補助金で約7000の病床削減を進めてきたことを挙げ、「今回は倍額。赤字で悲鳴を上げる病院を病床削減に誘導している。赤字になっている病院に対して病床廃止を迫るなどもってのほかだ。病床廃止を条件とせずに、直接支援を行うべき」と批判しました。

5病院団体が1月に発表した要望書

 石破茂首相は、全国で地域の病院が非常に厳しい状況にあると認めましたが、「病床数を減らしながら(医療を)維持するやり方もある」と開き直りました。倉林氏は「地域の医療崩壊を加速させる補助金はやめるべき」だと追及しました。

 また倉林氏は、看護師不足が慢性化するもと、人材紹介業者に多額の費用が使われ、「派遣ナース」が増えていることを追及しました(24年5月の参院厚生労働委員会)。

 医労連が人材紹介会社への支払額を調査し、病院当たりの最高額が年間3800万円、平均でも1000万円を超えていることを示し、「本来現場を支える職員の賃上げに回るはずの原資。人材紹介会社に対して規制を強化するという方向で対策をとるべき」と求めましました。

 こうした倉林議員の論戦に、現場の看護師からも共感の声が上がります。

 京都市内の民間病院で働く看護師は、「他業種に転職する看護師も増えています。倉林さんは、現場の実態をしっかりつかんで、徹底して賃上げを求めてくれています。若い看護師が働き続けられる医療現場に変えるためにも、倉林さんに頑張ってほしい」と話します。(立花亮)

 

松岡さん

医療現場知る論戦 国会に絶対に必要

民間病院看護師 松岡裕子さん

 コロナ禍では精神的に追い詰められるほど業務が過酷でしたが、その後の診療報酬改定でも賃金はほとんど上がらず、離職者が増えています。

 看護師は賃金が高いと言われることもありますが、体に負担の重い夜勤を繰り返している結果です。体が持たずに夜勤をやめれば賃金は下がってしまいます。物価が高騰するもとで、他業種の賃金が上がり、賃上げが抑えられた医療分野では、看護師を辞め、転職する人も増えています。

 人が減り、負担が増えているので業務が回りません。そして病棟・ベッド数が減り、介護業界も人手不足で、地域医療全体が危機的な状況になっています。

 高齢化した患者さんが増える中で、治療が終わって転院しようとしても受け入れ先がない、訪問看護や介護サービスも受けられないと、途方に暮れる人も少なくありません。

 看護師出身の倉林さんは、ケア労働者の賃上げ、病床削減問題など、私たちの実感とかみ合った論戦で、政府に要求を突きつけてくれています。

 要請で何度も懇談しましたが、本気で今の医療現場を変えるために奮闘されていると実感しています。看護、医療、社会保障分野で働く人にとって本当に大事な議席です。絶対に再選してほしいと願っています。