府内各地から約100人が参加した市民集会(4月11日、京都市左京区)

 「北陸新幹線京都延伸を考える市民の会」は4月11日、京都市左京区の京都教育文化センターで「STOP!本気で止めよっ!北陸新幹線延伸市民集会」を開き、巨椋(おぐら)池干拓田で野鳥観察を続けている日本野鳥の会京都支部と株式会社ヘルプの宗接(むねつぐ)元信社長が報告。府内各地から約100人が参加し、交流しました。

巨椋池干拓田は貴重な生息地「野鳥保護の立場から反対」

 日本野鳥の会京都支部からは、船瀬茂信支部長と坂根勝美副支部長が発言。府南部の巨椋池干拓田(久御山町、宇治市)に北陸新幹線の明かり区間(地上ルート)や、最大で30万平方㍍規模の巨大な車両基地が設置される計画について、「野鳥保護の立場から反対の声を上げたい」と表明。両氏は、巨椋池の歴史や貴重な野鳥類を写真データや動画で紹介。巨椋池干拓田では、府内で確認されている380種の野鳥のうち、180種が生息しており、絶滅危惧種(府内49)18、絶滅寸前種のコミミズクなど、全国的にも貴重な生息地になっていると指摘。「安心して生息できる条件がそろっている」と話しました。

 宗接氏は、地産地消、医食同源をモットーに府内で農業生産法人をつくり、自分たちで作った農産物などを供給しているとして「京都は平安期から豊かな地下水で生きてこられたまち。水と命を守るため、地下水の流れを根絶やしにしかねない新幹線は絶対に通してはいけない。必ずやめさせるためにみんなで力を合わせよう」と呼び掛けました。

宗接氏

 会場からは、南丹市美山町田歌区の長野宇規さんが延伸計画を「集落の存続に関わる問題」として取り組んで来たことや南丹市議会が3月に「着工を認めない」と全会一致で決議したことを報告。「みなさんと一緒に止めたい」と述べました。

 右京区京北に15年住むという女性は山国地域の明かり区間のトンネル出入り口付近は地元の飲料水や農業用水の水源となる取水地にあたり、何としても止めたいと発言しました。

命・暮らし・自治と対極にある延伸計画

 同「市民の会」の榊原義道氏は、府内の自治体や府市民が声を上げていることに対し、与党整備委員会委員長の西田昌司参院議員が「国家のために掘る」と強引に進めようとしていると批判。「北陸新幹線延伸は命、自治、暮らしの対極にある事業だ。圧力を跳ね返す世論をもっと大きくしていきたい」と力を込めました。