町内の知り合い宅にポスターを張り出す、良正さん(右)、綾子さん(中央)

 「えー、私らの近くの地下を新幹線のトンネルが通るの?」――北陸新幹線延伸ルートの「南北案」で、京都市中京区にあたる部分を拡大し、ポスターにして自宅などへの張り出しを呼び掛けている夫妻がいます。500枚作成し、約1週間で250枚を普及しました。

 中京区聚楽廻西町に住む川口良正さん(75)、綾子さん(75)。3月9日に「北陸新幹線延伸ストップの声を上げよう中京区民の会」を2人で立ち上げ、ルート地図のポスター制作を開始。同趣旨の署名活動にも取り組んでいますが、文字だけの説明では伝えにくく、「位置や深さが分かれば人ごとではなくなるはず」と考えました。

 同日に結成された「北陸新幹線延伸中止を求める中京の会」の呼びかけ人や知り合いの印刷所のデザイナーらと相談。推敲(すいこう)を重ね、文字の大きさや色、京都駅ホームの深さを示す図を入れ、「私の思い」を一言書き込めるスペースも設けました。屋外に張り出しても数カ月は持つようにラミネート加工も施しました。

 川口夫妻は自分たちが加盟する「朱二健康友の会」の知り合いや喫茶店主、ご近所などに声をかけ、ポスターを広げています。

 夫妻と同町内に住む女性(79)は「地下水がどうなるのか不安。京都の地下を掘るなんてとんでもない」と門扉に張り出しました。子ども3人を子育て中の女性(34)も自宅前に貼付。「こんな近くを通るなんてびっくりです。教えていただいてよかった」と話します。

 川口さんは「地図には力がある。可視化することで、こんなところを通るのかと、関心が広がり、署名も進みます。いろんなところで話題にしていき、延伸ストップにつなげたい」と力を込めます。

 ポスターは2枚で500円。1枚は自分の家、もう一枚は知り合いに頼んでほしいと呼びかけています。

 問い合わせ℡090・4295・9220(川口)。

川口さん夫妻が制作したポスター