5月14(土)~6月4日(土)11時~19時(日・月・祝休)、TKGセラミックス(京都市下京区西側町483番地〔小山登美夫ギャラリー京都建屋内〕。地下鉄烏丸線「五条」8番出口より徒歩7分)TEL075・353・9994。
本展は、うつわを巡る京都探訪ガイド「京都うつわさんぽ」(光村推古書院)の著者・沢田眉香子(編集・著述業)のキュレーションによる、陶磁という素材で表現する京都の若手作家5名と1組のグループ展です。
若手陶芸作家がオリジナルで高度な技巧で描く世界観は、陶アートのワンダーランド。オブジェ/うつわのボーダーを超える表現には、うつわをアートに越境させた「京焼」のDNAが潜んでいるのかもしれません。
―キュレーター・沢田眉香子
出展=フジタチサト、藤田匠平、原菜央、片山亜紀、増田哲士、谷内薫
問い合わせTEL075・353・9994(小山登美夫ギャラリープレス・藤川)。
フジタチサト 藤田匠平×山野千里のユニット
か細く深い輪郭線は、針で引っ掻いて化粧土を象嵌し、掻き落としています。筆で描いた線とは違うこの強い下絵にカラフルな上絵が施されています。見ていると吸い込まれそうな、物語性豊かな絵柄には、「うつわの絵付」を超えた、親密で触感に訴える独特の絵画の世界があります。手に触れるうつわ、身近な器型という立体の上ならではの表現といえるかもしれません。山野千里(やまの・ちさと)1977年生まれ。京都市立芸術大学大学院工芸専攻(陶磁器)修了。
藤田匠平 ふじた・しょうへい
1968年生まれ。京都市立芸術大学 美術科日本画から工芸科陶磁器に転科、同大学院修了ブリティッシュカウンシルのフェローシップを得てEdinburgh College Of Art にて留学すりガラスのような不思議な感触とまだらな模様は、温度を変えて二度焼きした釉薬を削り露出させたもの。誰も見たことのなかった釉薬の層の内側の神秘的な表情と、長時間かけて削り出されたことによる、まるで風雪が形作ったような有機的なかたち。「成形し釉薬をかけ焼く」ことに完結しない、作家の実験的な技法から、まだ見ぬ焼きものが姿を現します。
原菜央 はら・なお
1984生まれ。京都精華大学 芸術学部造形学科陶芸分野卒業、京都市産業技術研修所(旧京都市工業試験場)京都市伝統産業技術者研修陶磁器コース専修科修了。奇怪なクリーチャーと「道で拾った」人形から型抜きしたうさぎが絡む、残酷な寓話のような造形。そこに「嫌な感じ」のフェミニンなピンクとケミカルな青で、発疹のような緻密な絵付けをびっしりと這わせる。人が違和感を催す要素をわざわざ選びとり、複雑な工程の間ずっと不協和音のテンションをキープしたまま突き抜けることで、嫌悪感を「コワかわいい」パンクな世界に反転させる「イヤよイヤよも数寄(スキ)のうち」な作品です。
片山亜紀 かたやま・あき
1979生まれ。京都市立芸術大学 美術学部工芸科陶磁器専攻卒業。作品に断層のようにあらわれる、一見、フリーハンドで描かれたようなライン。タタラ(平たくならした生地)に均一に顔料を塗り、それを何層も重ねて塊になるよう寄せ、彫刻のように削り出して成形します。地層のような、年輪のような、水紋のようなラインと、手で削り出されたかたちは、静かでありながら自然を擬態する生き物のように生々しくもあります。「積層刳貫手」(セキソウクリヌキデ)と呼ばれる、オリジナルの手法です。
増田哲士 ますだ・さとし
1973年生まれ。京都教育大学卒業。和のあたたかさと北欧のうつわの洗練と、敬愛するルーシー・リーのふくよかさを写した若々しくも熟成されたかたちが持ち味です。ろくろで成形したうつわにカンナで模様を刻む、「しのぎ」と呼ばれる技法で装飾しています。民芸の小鹿田焼の「飛びカンナ」による幾何学的な文様がにも似ています。手でひとつひとつ刻まれた作家の文様はなめらかで暖かみがあり、釉の味わいと相まって、日々の生活に存在感を放ちます。
谷内薫 たにうち・かおる
1983年生まれ。京都精華大学 芸術学部デザイン学科 テキスタイルデザインコース卒業。うねり、反り、広がる柔らかな造形は、土を布状に延ばしドレープを寄せ、プリントを施すように模様を刻んで成形されています。葉脈を思わせる重厚でしなやかな表面は、一本一本の筋をつづれ織りのように緻密に線刻したもの。釉薬は布地に広がる滲みのようなムラを染め上げています。テキスタイルを学んで陶芸に転じた作家は、フェティッシュなこだわりで染め、織りの手法と効果を土の上に描こうとしています。
https://www.kyoto-minpo.net/event/archives/2011/05/14/post_3644.phphttps://www.kyoto-minpo.net/event/wp-content/uploads/2015/04/20110514-03-thumb-200x150-14926.jpghttps://www.kyoto-minpo.net/event/wp-content/uploads/2015/04/20110514-03-thumb-200x150-14926-150x150.jpgkyomin画廊・ギャラリーイベント 5月14(土)~6月4日(土)11時~19時(日・月・祝休)、TKGセラミックス(京都市下京区西側町483番地〔小山登美夫ギャラリー京都建屋内〕。地下鉄烏丸線「五条」8番出口より徒歩7分)TEL075・353・9994。
本展は、うつわを巡る京都探訪ガイド「京都うつわさんぽ」(光村推古書院)の著者・沢田眉香子(編集・著述業)のキュレーションによる、陶磁という素材で表現する京都の若手作家5名と1組のグループ展です。
若手陶芸作家がオリジナルで高度な技巧で描く世界観は、陶アートのワンダーランド。オブジェ/うつわのボーダーを超える表現には、うつわをアートに越境させた「京焼」のDNAが潜んでいるのかもしれません。
―キュレーター・沢田眉香子
出展=フジタチサト、藤田匠平、原菜央、片山亜紀、増田哲士、谷内薫
問い合わせTEL075・353・9994(小山登美夫ギャラリープレス・藤川)。
フジタチサト 藤田匠平×山野千里のユニット
か細く深い輪郭線は、針で引っ掻いて化粧土を象嵌し、掻き落としています。筆で描いた線とは違うこの強い下絵にカラフルな上絵が施されています。見ていると吸い込まれそうな、物語性豊かな絵柄には、「うつわの絵付」を超えた、親密で触感に訴える独特の絵画の世界があります。手に触れるうつわ、身近な器型という立体の上ならではの表現といえるかもしれません。山野千里(やまの・ちさと)1977年生まれ。京都市立芸術大学大学院工芸専攻(陶磁器)修了。
藤田匠平 ふじた・しょうへい
1968年生まれ。京都市立芸術大学 美術科日本画から工芸科陶磁器に転科、同大学院修了ブリティッシュカウンシルのフェローシップを得てEdinburgh College Of Art にて留学すりガラスのような不思議な感触とまだらな模様は、温度を変えて二度焼きした釉薬を削り露出させたもの。誰も見たことのなかった釉薬の層の内側の神秘的な表情と、長時間かけて削り出されたことによる、まるで風雪が形作ったような有機的なかたち。「成形し釉薬をかけ焼く」ことに完結しない、作家の実験的な技法から、まだ見ぬ焼きものが姿を現します。
原菜央 はら・なお
1984生まれ。京都精華大学 芸術学部造形学科陶芸分野卒業、京都市産業技術研修所(旧京都市工業試験場)京都市伝統産業技術者研修陶磁器コース専修科修了。奇怪なクリーチャーと「道で拾った」人形から型抜きしたうさぎが絡む、残酷な寓話のような造形。そこに「嫌な感じ」のフェミニンなピンクとケミカルな青で、発疹のような緻密な絵付けをびっしりと這わせる。人が違和感を催す要素をわざわざ選びとり、複雑な工程の間ずっと不協和音のテンションをキープしたまま突き抜けることで、嫌悪感を「コワかわいい」パンクな世界に反転させる「イヤよイヤよも数寄(スキ)のうち」な作品です。
片山亜紀 かたやま・あき
1979生まれ。京都市立芸術大学 美術学部工芸科陶磁器専攻卒業。作品に断層のようにあらわれる、一見、フリーハンドで描かれたようなライン。タタラ(平たくならした生地)に均一に顔料を塗り、それを何層も重ねて塊になるよう寄せ、彫刻のように削り出して成形します。地層のような、年輪のような、水紋のようなラインと、手で削り出されたかたちは、静かでありながら自然を擬態する生き物のように生々しくもあります。「積層刳貫手」(セキソウクリヌキデ)と呼ばれる、オリジナルの手法です。
増田哲士 ますだ・さとし
1973年生まれ。京都教育大学卒業。和のあたたかさと北欧のうつわの洗練と、敬愛するルーシー・リーのふくよかさを写した若々しくも熟成されたかたちが持ち味です。ろくろで成形したうつわにカンナで模様を刻む、「しのぎ」と呼ばれる技法で装飾しています。民芸の小鹿田焼の「飛びカンナ」による幾何学的な文様がにも似ています。手でひとつひとつ刻まれた作家の文様はなめらかで暖かみがあり、釉の味わいと相まって、日々の生活に存在感を放ちます。
谷内薫 たにうち・かおる
1983年生まれ。京都精華大学 芸術学部デザイン学科 テキスタイルデザインコース卒業。うねり、反り、広がる柔らかな造形は、土を布状に延ばしドレープを寄せ、プリントを施すように模様を刻んで成形されています。葉脈を思わせる重厚でしなやかな表面は、一本一本の筋をつづれ織りのように緻密に線刻したもの。釉薬は布地に広がる滲みのようなムラを染め上げています。テキスタイルを学んで陶芸に転じた作家は、フェティッシュなこだわりで染め、織りの手法と効果を土の上に描こうとしています。kyomin
Author京都イベントなび