2月6日(金)~2月22日(日)11時~19時(月曜休。金曜20時まで、最終日18時まで)、ギャラリー・パルク(京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48三条ありもとビル2F。地下鉄東西線「京都市役所前」より徒歩3分)TEL075・231・0706。
2008年東京外国語大学卒業、2014年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了した前谷康太郎(まえたに・こうたろう/1984~・和歌山生まれ)は、2010年以降、大阪・梅香堂での個展(2011年・13年)開催をはじめ、多くの個展・グループ展に積極的に取り組むとともに、2014年には東京・ICCで個展「 further/nearer : emergencies! 021 」を開催するなど、その活動は多くの注目を集めています。
「多くの言語の構造に触れる中で、最小の構成要素である音素の一つ一つにも意味が宿る言語の存在や、日常においても見受けられるたったひとつの音素がもたらすニュアンスなどに興味を持ち、映像という言語においてもそのような次元の顕在化が可能かつ有意義なのではないか」として、東京外国語大学卒業後に本格的に映像表現に取り組みはじめた前谷は、おもに「光」を収集し、それらを構成要素とする映像・インスタレーションや写真作品を多く発表しています。とりわけモニターやプロジェクションを用いた映像による作品は、太陽による自然光、ネオンや電灯といった人工光などのあらゆる光を抽象的なイメージとして収集し、映像という光として空間へと還元します。そこで目にするミニマルな光の在り様は、時間・存在・言語といった概念とともに、鑑賞者の内にある思考や記憶、想像といった情緒をもともなって、私たちの世界への「認識」にまつわる要素と構造を顕在化させます。
走る車より後ろ向きに設置されたオブスキュラ(正円ではなく、一辺10cm程度の方形の穴を持った箱に撮影用のカメラを仕込んだもの)により撮影された日常風景が、中心に消失点を持った抽象的な光と色のモーションへと還元された《 landscape(slit) 》(2013~)では、目に見える世界の異なる姿とともに、抽象性の中に残る現実感が独特の美しさを見せます。光源に対してオブスキュラを次第に遠ざけていくなかで撮影された《 further/nearer 》(2012~)は、形(反射光)によらない光そのものを収集したものとして、私たちの目による焦点外の領域についての認識・知覚をテーマとしたものです。また、鑑賞者はゆっくりと変化する映像を目にするうち、いつしかそこに反射光でも直射光でもない「残像」による「実態を伴わない光」をも重ねて見ることとなり、そこには私たちの認識における「見る」という行為の本質をも顕在化します。また、新作となる《road movies》(2015~)のシリーズでは、撮影した日常風景の映像からX軸とY軸の情報にデジタルによるフィルタリングを施すことで、光と色が見せる激しいモーションを抽出しています。
これらはいずれも私たちの「光」による「世界」の「認識」についての本質的な関係をシンプルな要素に還元して見せるとともに、「見る」という行為にともなう「私」の存在そのものへと目と思考を向けさせるのではないでしょうか。また、私たちが世界(光)を認識する上での距離/時間/明暗/形態/記憶といった要素は、いずれも映像言語に置き換え可能なものであり、世界の文節性は多くの要素が関わり合う映像にそのまま重なるものであるといえます。そして、前谷は世界を既存の言語に「読み替える」ことのみを目的とするのではなく、むしろ言語(要素)を固有の意味を有する寸前の「音」にまで還元し、その連続が奏でる音楽のようなものの姿を通して世界を「見よう」としているのではないでしょうか。
本展会期中は、偶数日に新シリーズとなる《road movies》を中心に、奇数日には旧作《further/nearer》を日替わりで展示いたします。同一会場での異なる構成による展示により、前谷の作品に通呈する興味の在り処を伺い知ることができるのではないでしょうか。(ギャラリー・パルク)
問い合わせTEL/FAX075・231・0706(ギャラリー・パルク)。
https://www.kyoto-minpo.net/event/archives/2015/02/06/post_1595.phphttps://www.kyoto-minpo.net/event/wp-content/uploads/2015/04/20150206-03.jpghttps://www.kyoto-minpo.net/event/wp-content/uploads/2015/04/20150206-03-150x150.jpgkyomin-minpo画廊・ギャラリー 2月6日(金)~2月22日(日)11時~19時(月曜休。金曜20時まで、最終日18時まで)、ギャラリー・パルク(京都市中京区三条通御幸町弁慶石町48三条ありもとビル2F。地下鉄東西線「京都市役所前」より徒歩3分)TEL075・231・0706。
2008年東京外国語大学卒業、2014年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了した前谷康太郎(まえたに・こうたろう/1984~・和歌山生まれ)は、2010年以降、大阪・梅香堂での個展(2011年・13年)開催をはじめ、多くの個展・グループ展に積極的に取り組むとともに、2014年には東京・ICCで個展「 further/nearer : emergencies! 021 」を開催するなど、その活動は多くの注目を集めています。
「多くの言語の構造に触れる中で、最小の構成要素である音素の一つ一つにも意味が宿る言語の存在や、日常においても見受けられるたったひとつの音素がもたらすニュアンスなどに興味を持ち、映像という言語においてもそのような次元の顕在化が可能かつ有意義なのではないか」として、東京外国語大学卒業後に本格的に映像表現に取り組みはじめた前谷は、おもに「光」を収集し、それらを構成要素とする映像・インスタレーションや写真作品を多く発表しています。とりわけモニターやプロジェクションを用いた映像による作品は、太陽による自然光、ネオンや電灯といった人工光などのあらゆる光を抽象的なイメージとして収集し、映像という光として空間へと還元します。そこで目にするミニマルな光の在り様は、時間・存在・言語といった概念とともに、鑑賞者の内にある思考や記憶、想像といった情緒をもともなって、私たちの世界への「認識」にまつわる要素と構造を顕在化させます。
走る車より後ろ向きに設置されたオブスキュラ(正円ではなく、一辺10cm程度の方形の穴を持った箱に撮影用のカメラを仕込んだもの)により撮影された日常風景が、中心に消失点を持った抽象的な光と色のモーションへと還元された《 landscape(slit) 》(2013~)では、目に見える世界の異なる姿とともに、抽象性の中に残る現実感が独特の美しさを見せます。光源に対してオブスキュラを次第に遠ざけていくなかで撮影された《 further/nearer 》(2012~)は、形(反射光)によらない光そのものを収集したものとして、私たちの目による焦点外の領域についての認識・知覚をテーマとしたものです。また、鑑賞者はゆっくりと変化する映像を目にするうち、いつしかそこに反射光でも直射光でもない「残像」による「実態を伴わない光」をも重ねて見ることとなり、そこには私たちの認識における「見る」という行為の本質をも顕在化します。また、新作となる《road movies》(2015~)のシリーズでは、撮影した日常風景の映像からX軸とY軸の情報にデジタルによるフィルタリングを施すことで、光と色が見せる激しいモーションを抽出しています。
これらはいずれも私たちの「光」による「世界」の「認識」についての本質的な関係をシンプルな要素に還元して見せるとともに、「見る」という行為にともなう「私」の存在そのものへと目と思考を向けさせるのではないでしょうか。また、私たちが世界(光)を認識する上での距離/時間/明暗/形態/記憶といった要素は、いずれも映像言語に置き換え可能なものであり、世界の文節性は多くの要素が関わり合う映像にそのまま重なるものであるといえます。そして、前谷は世界を既存の言語に「読み替える」ことのみを目的とするのではなく、むしろ言語(要素)を固有の意味を有する寸前の「音」にまで還元し、その連続が奏でる音楽のようなものの姿を通して世界を「見よう」としているのではないでしょうか。
本展会期中は、偶数日に新シリーズとなる《road movies》を中心に、奇数日には旧作《further/nearer》を日替わりで展示いたします。同一会場での異なる構成による展示により、前谷の作品に通呈する興味の在り処を伺い知ることができるのではないでしょうか。(ギャラリー・パルク)
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