あの日からあいつは頻繁に姿をみせるようになった。
長く姿を消すことはないので社内も大騒ぎする事は少なくなったが、さすがに締め切り前は困るので、その時は私の机の上に山盛りのコンペイトウを用意しておく…そうそう、これは発見なのだがあいつはコンペイトウが好きなのだ。これさえ用意しておけば、そうそう逃がすことはない。
その他に…隙間に挟まっているあいつ、寝ているあいつ、しゃべるあいつ――どうやら言葉を覚えたらしくたどたどしい京都弁を使う――なるほど、知れば知るほど奇妙な生き物だと思えてくるのだ。
いや、だからと言って決してあいつを好きになったわけではない。あいつが出るたびに何かと問題が増えてくるのだ。あんなやついないにこしたことはない。
しかし、ここ3日ほど姿をみない…
…別に何ということでもないが、私はあいつに帽子と草履を作ってやろうかと思う。