医療+暮らし

関節リウマチ(前編)

次々と新薬開発で新たな治療段階へ

はじめに

「リウマチ薬、79人死亡・2万人が使用の『エンブレル』」
 こんな記事が2007年12月はじめ新聞紙上をにぎわせたことは、皆さんの記憶に新しいところでしょう。この記事から、二つのことが頭に浮かびます。一つは、どんな薬にも副作用があり、よく効く薬ほど、注意して使わなければいけないこと、もう一つは、近年、「関節リウマチ」に対する薬が次々に開発され、治療が新たな段階に入っているということです。

「リウマチ」:広い意味と狭い意味


正常の手

リウマチで変形した手
 「リウマチ」の語源は古く、紀元前のギリシアの時代の「流れ」を意味し、脳から悪い液が体内に流れてあちこちの痛みを起こす病いと考えられていました。その後、西欧で、関節や筋肉に痛みが来る疾患に広く「リウマチ」の名前が使われ、その中から、痛風や、変形性関節症、「関節リウマチ」などの疾患が区別されてきたのです。
 したがって、「リウマチ」には、広い意味で、関節や筋肉などが痛むさまざまの疾患を含む場合と、狭い意味で「関節リウマチ」という特定の疾患をさす場合があります。さしずめ「神経痛・リウマチに効く」という温泉の効能書きなどは、広い意味ということになるでしょう。
 これからのお話は、狭い意味での「関節リウマチ」についてです。

「関節リウマチ」の症状と診断

 典型的な症状を知っていただくために、診断の基準をご紹介しましょう。
(1)1時間以上続く朝のこわばり(2)3個所以上の関節の腫れ
(3)手の関節・指の関節の腫れ
(4)対称性の関節の腫れ
(5)Ⅹ線所見
(6)皮下のリウマチ結節
(7)血液検査でリウマチ反応が陽性 、
(1)~(4)は6週以上持続すること。これらをいくつ満たすかで診断をしていきます。
 朝方、手がこわばって握りにくく、特に両手指の第2、第3関節、手首の腫れ・痛みが続く場合は「関節リウマチ」である可能性があります。もちろんいろいろの関節に来ます。ごく初期では、診断がむずかしいこともあり、専門の医師が総合的に判断します。

どこで診察を受けるか

 リウマチを専門にしている内科医(リウマチ医)・リウマチに詳しい整形外科医。
学会の認定ではリウマチ学会認定医、日本整形外科学会リウマチ認定医、リウマチ財団登録医などが該当します。

「関節リウマチ」の原因

 現在では、体質・遺伝的要因と環境要因の複雑な組み合わせの結果、免疫異常が誘発され、関節を中心に炎症(腫れたり痛んだりする一連の現象)が引き起こされ持続する疾患と考えられています。決定的な原因はまだわかっていません。(後編へつづく
京都民医連中央病院 整形外科 東正一郎
2009年1月15日 15:31 |コメント0

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