治療の基本は点鼻と内服
花粉症とは
昭和30年前半までは、花粉症は日本にはないといわれていましたが、30年後半にブタクサ花粉症、さらにはスギ花粉症が初めて報告されました。当初は罹患数も少なく、症状も高度ではなかったのですが、昭和50年代半ばから患者数が急増し、いまではスギ花粉症の有症率は15~20%といわれ、春の季語にもなっています。年齢別では、7歳を境に増加するといわれ、10歳代で急増し、10歳代から50歳代はほぼ同様の有症率です。高齢者には少なく60歳代になると有症率は減少します。アレルギーの原因となる花粉は60種類あるといわれていますが、スギ花粉がその代表です。スギ花粉症は2月末から3月末がピークで、そのほかヒノキ科花粉症は4月、カモガヤ花粉症(イネ科花粉症)は5月、ブタクサ花粉症は秋に症状がでます。
スギ花粉症をもっている人の多くはヒノキ花粉症もありますので、2月末から4月末まで症状が続く人が多くなります。5月以降も症状がある人は、カモガヤ花粉症も同時にあることが類推されます。
診 断
その症状から診断は比較的容易ですが、確定診断には、血液検査をすることです。1回測定しておけば変化することはまずありません。治 療
治療の基本は、点鼻(ステロイドあるいは抗ヒスタミン剤)と内服(抗ヒスタミン剤)です。点鼻によるステロイドは全身への吸収がごく少ないため、花粉症の時期の短期的使用なら問題ないとされています。抗ヒスタミン剤内服は時に眠気や口の乾きがおこることがあります。ステロイドの注射をする施設がありますが、その副作用あるいは前述のような処方で対応できることから推奨された治療法ではありません。
スギ花粉症では、同時にアレルギー性結膜炎(眼の症状)を併発することがしばしばありますので、同時に点眼薬の投与を必要とすることがあります。その他の治療法として、花粉やハウスダストのエキスを注射していく免疫療法(減感作療法)、鼻粘膜をレーザーで焼しゃくする手術などがありますので、耳鼻咽喉科医にご相談下さい。(太子道診療所では行なっておりません)
通年性アレルギー性鼻炎
季節性アレルギー性鼻炎である花粉症に対して、1年中症状のある通年性アレルギー性鼻炎があります。その原因のほとんどは、家のほこり、すなわちハウスダスト(ダニ)です。確定診断は花粉症と同様に血液検査をすることです。 花粉症と違って、1年中症状があるわけですが、ずっと薬を投与するのも問題がありますので、メリハリのある治療が大切です。点鼻薬を中心として治療していき、最終的には薬なしで日常生活に困らない状態を維持するのが目標となります。主な花粉症の京都の発症時期