スミレ【スミレ科スミレ属】 町の真ん中。杉本家住宅の裏庭。ビルに囲まれた一角。そこに残された緑の園。
四季に庭を彩る花々、木々の色彩の変化、昆虫たちの鳴き声、野鳥のさえずり、鼬(いたち)の走り回る姿。どれもこの庭にある。そんな裏庭で繰り広げられてきた様々な記憶を、そこに生息する草木、生き物をとおして、こっそりお話しいたします。
四季に庭を彩る花々、木々の色彩の変化、昆虫たちの鳴き声、野鳥のさえずり、鼬(いたち)の走り回る姿。どれもこの庭にある。そんな裏庭で繰り広げられてきた様々な記憶を、そこに生息する草木、生き物をとおして、こっそりお話しいたします。
裏庭の椿やモッコクの根元。大抵そこには菫が群生している。どうしたわけか、裏庭の菫は一年を通してその葉をすっかり枯らすことはない。寒中の頃でもひとつ、ふたつは群青の色を認めることができるほど強い。冬枯れの寂しい庭に、この小さな花を見つけると母はいつでも歓声を上げている。
多く群生しているのはニオイスミレ。その名のごとく甘い香りがある。一輪でも小さな器に差して部屋に置くと、その香が一段とたつ。同じく群生しているのはミヤマスミレ。夏にツマグロヒョウモンという蝶の幼虫がこの葉を大変に好み、ここで成虫になる。
多く群生しているのはニオイスミレ。その名のごとく甘い香りがある。一輪でも小さな器に差して部屋に置くと、その香が一段とたつ。同じく群生しているのはミヤマスミレ。夏にツマグロヒョウモンという蝶の幼虫がこの葉を大変に好み、ここで成虫になる。