シラン【ラン科シラン属】 雨の降ったあとは、芽吹いた草木の緑がひと息に庭を呑みこむ勢い。初々しくそよ吹く緑の風に素肌をさらして「あの空の向こう、どこまでも飛んでゆけたらな」と、遠い空にぼんやり視線を投じてみる。
庭を飾るしっかりとした色の大きな花々は、透き通った皐月の陽に我が身を輝かせて誇らしげ。そんな庭の傍らにひっそりと、うつむき気味にシランは花を咲かせる。
庭を飾るしっかりとした色の大きな花々は、透き通った皐月の陽に我が身を輝かせて誇らしげ。そんな庭の傍らにひっそりと、うつむき気味にシランは花を咲かせる。
うっすらと紫をさした白い花。小さく震えるいく筋ものヒダ。思わず顔を近づけて、じっと見入ってしまう。
それだけで充分。この花に勝手な人間の賛辞なんかいらない。この花が静かに魅惑を放って待っているのは、この花の形にピタリと収まる昆虫の飛来。
ないしょのランデヴー。
そこがまた、この花をいっそう魅惑的にする。
それだけで充分。この花に勝手な人間の賛辞なんかいらない。この花が静かに魅惑を放って待っているのは、この花の形にピタリと収まる昆虫の飛来。
ないしょのランデヴー。
そこがまた、この花をいっそう魅惑的にする。