医療+暮らし

乳がんのお話(3)

10年以上のおつきあいになる

5年過ぎても再発のリスク

 乳がんがお腹や肺のがんと違うところは5年を過ぎてもまだ再発のリスクが残っていることです。 10年生存率で成績が検討されるゆえんです。10年以上のおつきあいになります。私たちも転移や再発が無いかに注意をする一方、治療に伴う合併症や性の問題などどんなことでも遠慮無くご相談いただけるよう心して診療に当たらせて頂いております。 また乳がんの治療は最も研究が進んでいる分野の1つであり日々新しい良い治療法が発表されており、私たちも京大乳腺外科や大阪府立成人病センター乳腺・内分泌外科と連携し最先端の治療が提供できるように努力しております。

大切なのは「自己」、「乳がん」検診

乳がん診断法
 日本人の乳がんの頻度は30歳代から増え40歳代でピークを示します。20歳を過ぎたら検診年齢とお考えになって乳腺に厚みがある40歳代ぐらいまでなら超音波検査を中心に、その後はマンモグラフィや超音波検査をふくむ乳がん検診を受けられることをお勧めします。  また乳房の自己検診も毎月1回、生理の後5日目頃必ず実行するようにしましょう。コツは「ざぶとんの中に入ってしまった節分の豆を探す」つもりで指の腹全体を使って乳房をやさしくなでてあげて下さい。わきの下や乳頭のチェックもお忘れ無く。「なんかゴリゴリでわからへん」とおっしゃる方も多いのですが、なんどもくり返していくうちに、自分の乳房の形やかたさがわかるようになり、ちょっとした変化も発見できるようになります。気になったときが、受診のチャンスです。わずかでも変化があった時は遠慮せずに病院へお越しください。
京都民医連中央病院 外科 名嘉山一郎

早期乳がんの発見に威力を発揮する「マンモグラフィ」
 マンモグラフィとは、乳房専用のX線撮影のことをいいます。マンモグラフィは、触診では診断できない小さなしこりや、しこりになる前の石灰化した微細な乳がんの発見に威力を発揮する検査法で、乳がんの早期発見に欠かすことのできないものです。ただし、マンモグラフィは、乳腺が密な若い人の場合はX線写真がかすんでしまい、しこりを見つけることが難しいことがあります。また、X線撮影のため、妊娠している人には適しません。

若い人の判断に役立つ「超音波検査」
 超音波検査(エコー検査)は、乳房に超音波をあて、組織からの反射をとらえて画像にし、わずかな濃度の違いで病巣を診断するものです。マンモグラフィに比べて小さいしこりや石灰化の診断が困難ですが、しこりの内部構造の鑑別がしやすく、乳腺の密な若い人の診断にも使うことができます。

2009年5月20日 15:14 |コメント0

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