ドクダミ【ドクダミ科ドクダミ属】
放っておくと増えつづけ、引き抜こうとしても地中深くに張った根は途中で切れてしまう。地中に残った根は、どこまでもどこまでも暗闇を這うて、その先々で芽を吹かせて増殖する。撲滅作業をなかばあきらめ、伸びるどくだみを眺めていると、仕舞いに白い花が咲き始める。
おや。そうなると、この草も悪くない。
放っておくと増えつづけ、引き抜こうとしても地中深くに張った根は途中で切れてしまう。地中に残った根は、どこまでもどこまでも暗闇を這うて、その先々で芽を吹かせて増殖する。撲滅作業をなかばあきらめ、伸びるどくだみを眺めていると、仕舞いに白い花が咲き始める。
おや。そうなると、この草も悪くない。
癖のある強い香りに纏いつかれながら、かがめていた腰を伸ばして一休み。細長い根掘りを傍らに置く。
もう、花が咲き始めている。
重たく湿気を含んだ季節に移り変わると、この草の匂いと白い花が遠い思い出を押し開く。
庭が夜に沈み込んでゆく時分。地虫が声を長くひきずっているような宵には、どくだみの白い十文字の花がぽつりぽつりと浮かんで見える。
もう、花が咲き始めている。
重たく湿気を含んだ季節に移り変わると、この草の匂いと白い花が遠い思い出を押し開く。
庭が夜に沈み込んでゆく時分。地虫が声を長くひきずっているような宵には、どくだみの白い十文字の花がぽつりぽつりと浮かんで見える。