医療+暮らし

狭心症の症状と診断(2)

心エコー図検査と冠動脈CT検査

苦痛なく多くの情報得る

狭心症心エコー
経胸壁心エコー図
 心エコー図検査は超音波を利用して心臓の動きをリアルタイムに見ることにより、心臓病の多くの情報を得ることができるすばらしい検査方法です。何よりも基本的に苦痛を生じることなく、放射線被爆のように体への影響を心配する必要もないため、何度も、またどこでも出来る点が優れています。 現在は、心エコー機械の進歩により冠動脈の血流を検出することも可能になりました。当院では通常の心エコー図検査でも基本的に検出を行なうようにしています。
 また、運動時のみに症状がある患者さんは、安静時の症状がない時に心エコー図検査を行なっても全く正常にみえることが多いです。このため心電図を装着しながらエルゴメーターという自転車に乗っていただいて、運動した直後に心エコー図検査を行なう運動負荷心エコー検査を行なっています。運動時の心電図の変化のみを評価するトレッドミル検査に比べ、検査の精度は高い結果が出ています。しかしながら、超音波は冠動脈そのものをはっきり描出するものではありませんので、どうしても一部の方には入院による心臓カテーテル検査までしないと詳細がわからないことがありました。
 しかし、ここ数年でCT検査のめざましい進歩により、外来でも心臓カテーテル検査に匹敵するくらいの情報が得られるようになってきました。

性能向上できれいな画像

狭心症CT
冠動脈CT(1)
狭心症CT
冠動脈CT(2)
 今まで心臓は動く臓器であるため、なかなか冠動脈のきれいな画像を得ることができなかったのですが、CTの性能の向上や心拍数を薬で調整することなどにより、冠動脈の描出がきれいに行なえるようになりました。当院でも昨年7月に64列マルチスライスCTが導入され、診療放射線技師とともにさらなる画像の精度向上を目指して日々取り組んでいるところです。  放射線被爆の問題とカルシウム沈着が多い時の検査精度低下の問題はやむをえない点ではありますが、従来の入院をして行なう心臓カテーテル検査に比べると患者さん負担は様々な面ではるかに軽減されると思います。狭心症を疑う症状や気になる症状があれば気軽にご相談いただければ幸いです。

最後に

 当院では、狭心症などの心臓病の診断や治療に関しては、大阪市立大学や京都大学のスタッフとカンファレンスを行なったり、また連携を取りながら検査や治療の質が向上するように努力を行なっております。今後ともどうぞよろしくお願いします。
京都民医連中央病院 救急科 科長 四方典裕
2009年6月 9日 10:00 |コメント0

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