ネム【マメ科ネムノキ属】
不思議な名前の木。その響きには安らぎが感じられる。この花も六月の花らしい甘い香りを持っている。合歓の花は紅色がかっている。でも、裏庭のは真っ白。未熟のブラックベリーのような青い無数の小さな蕾の塊りが、一つの花を形成する。
この木は私の記念樹。ある人との出会いを記念して植えた。
不思議な名前の木。その響きには安らぎが感じられる。この花も六月の花らしい甘い香りを持っている。合歓の花は紅色がかっている。でも、裏庭のは真っ白。未熟のブラックベリーのような青い無数の小さな蕾の塊りが、一つの花を形成する。
この木は私の記念樹。ある人との出会いを記念して植えた。
西の空に一番星が光り始める頃、蕾の固まりの一つひとつが緩みはじめる。すると、丸めた糸屑のようであった雌蘂(しずい)が徐々に自由を得て、恐る恐る解かれてゆく。
三方を山に囲まれている京は、湿り気を含んだ空気が夕方に山から冷気となって盆地の底に沈む。この気の流れに従って、花の香りも立ちのぼるのではなく、ある高さの空気の層の境目あたりに溜まって水平に漂うように思われる。
絹糸を束に結わえて房を上向けに広げたように咲く合歓の花は、弱い風にもそよそよなびいて、優しく夕闇迫る時刻を刻んでくれる。
西の空には、月鉾の鉾頭のようなお月さん。そろそろ祇園祭のお囃子も聞こえてくる。
三方を山に囲まれている京は、湿り気を含んだ空気が夕方に山から冷気となって盆地の底に沈む。この気の流れに従って、花の香りも立ちのぼるのではなく、ある高さの空気の層の境目あたりに溜まって水平に漂うように思われる。
絹糸を束に結わえて房を上向けに広げたように咲く合歓の花は、弱い風にもそよそよなびいて、優しく夕闇迫る時刻を刻んでくれる。
西の空には、月鉾の鉾頭のようなお月さん。そろそろ祇園祭のお囃子も聞こえてくる。