シュウカイドウ【シュウカイドウ科シュウカイドウ属】 秋海棠は樹木の下などの日陰を好む草。ハート形に似た大きな葉は、背の低い株の根元をすっかり覆い隠してしまう。茎は、赤く腫れ上がった関節のような節ごとに二俣に分かれて葉を広げながら斜め上方へと伸び、いずれ先端にピンク色の花を咲かす。ひとつの花の付け根は、またひとつの節となり、新しい葉と次の花芽を準備しながら秋の日々を過ごし続ける。
ねっとりと蒸した残暑の続く日々。それでも、夜更けから朝方に掛けて窓からはいる風は冷たくなってきた。畳んだタオルケットをたった一枚、お腹に載せて寝た熱帯夜はもうこない。唐突に「ひと夏の過ぎ去った」寂寞を感じる瞬間がある。もう今日の庭は、昨日とまるで異なって見える。
素足に下駄をひっかけて庭に下りてみる。
ひと夏を越え、疲れた樹木の枝先には、蜘蛛の巣が白い靄のようにあちらこちらに掛かっている。ぼうぼうと伸びた草の元には秋の虫。夜な夜な声を聞かせてくれる。足下ばかりに気を取られていると、顔がクモの糸に引っかかる。細いけれど粘り強い糸。伸縮して、あっさりとは切れない。
命というもののような気がした。
素足に下駄をひっかけて庭に下りてみる。
ひと夏を越え、疲れた樹木の枝先には、蜘蛛の巣が白い靄のようにあちらこちらに掛かっている。ぼうぼうと伸びた草の元には秋の虫。夜な夜な声を聞かせてくれる。足下ばかりに気を取られていると、顔がクモの糸に引っかかる。細いけれど粘り強い糸。伸縮して、あっさりとは切れない。
命というもののような気がした。