ヨウシュヤマゴボウ【ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属】 事は、ヒヨドリの落としモノから始まった。
紫色に染まった、その「落としモノ」には、黒い小さな種が無数に入っていた。
ある年のこと。どこぞ近所の庭か山の麓かに生えている洋種山牛蒡がその実をたわわに実らせて、じっとその時を待っていた。
ある日、食べ頃に熟れた黒い実に目を付けた食いしん坊のヒヨドリは、幾粒もの実を鵜呑みにして、お腹がふくれると得意げに鳴きわめきながら我が縄張りを巡回し始めた。
すべては、洋種山牛蒡の思惑どおりに事は運んでいったのだった。
紫色に染まった、その「落としモノ」には、黒い小さな種が無数に入っていた。
ある年のこと。どこぞ近所の庭か山の麓かに生えている洋種山牛蒡がその実をたわわに実らせて、じっとその時を待っていた。
ある日、食べ頃に熟れた黒い実に目を付けた食いしん坊のヒヨドリは、幾粒もの実を鵜呑みにして、お腹がふくれると得意げに鳴きわめきながら我が縄張りを巡回し始めた。
すべては、洋種山牛蒡の思惑どおりに事は運んでいったのだった。
オフィスビルに四方を囲まれた、洛中のオアシスのような四角い町家の庭。ヒヨドリはここもテリトリーにしている。高い枝の先に留まって天下を取ったようなつもりでいるらしい。
「ヒーッ、ヒーッ、ヒーッ、ヒョロロロ」
と、雄叫びを上げているうち折しも其処でもよおした。ちょうど身を軽くしたいところでもあったので、ポトリとモノを落とすと軽快に空をアップ・ダウンしながら飛び去った。
次の年の初夏のこと。運良く土の上に着地したモノに混じっていた一粒が根を生やし、めでたく庭の草に仲間入りを果たしていた。
まんまと洋種山牛蒡に一杯食わされたヒヨドリだったが、しっかりと自分の餌場を1つ増やすことに成功してもいた。
それにしても、洋種山牛蒡の成長たるや凄まじい。年を追うごとに巨大化してゆく。今や根元の茎の直径は4センチを越え、背丈は大人を超し、葉の大きさも尋常ではない。
今年、新たな株が大事なバラの根元に生えてきた。ちょっと、これは見逃して放ってはおけないかしら。
「ヒーッ、ヒーッ、ヒーッ、ヒョロロロ」
と、雄叫びを上げているうち折しも其処でもよおした。ちょうど身を軽くしたいところでもあったので、ポトリとモノを落とすと軽快に空をアップ・ダウンしながら飛び去った。
次の年の初夏のこと。運良く土の上に着地したモノに混じっていた一粒が根を生やし、めでたく庭の草に仲間入りを果たしていた。
まんまと洋種山牛蒡に一杯食わされたヒヨドリだったが、しっかりと自分の餌場を1つ増やすことに成功してもいた。
それにしても、洋種山牛蒡の成長たるや凄まじい。年を追うごとに巨大化してゆく。今や根元の茎の直径は4センチを越え、背丈は大人を超し、葉の大きさも尋常ではない。
今年、新たな株が大事なバラの根元に生えてきた。ちょっと、これは見逃して放ってはおけないかしら。