京都 町家の草木

錦百合

ヒヤシンス
ニシキユリ【ヒヤシンス科ヒヤシンス属】
 量感のある葉と花房。春の大冠のように土から顔を出すヒヤシンス。立派な花を付けるのは、もっぱら父が買った栄養をたっぷりと蓄えた新しい球根から生えたもの。でも、庭には自力で1年を超して花房をつける株のほうが多い。見栄えはしなくとも、精一杯美しい。
 「春になればヒヤシンスが点在する庭が楽しめる」と、新たに買ってきた球根は父が好きな場所にスコップで植える。こうして、芽が出てこないと何処に植えたか分からないヒヤシンスは年々増えた。場所が分からないのはヒヤシンスばかりではなく、春になってようやく所在を知らせてくれる植物のひとつにムスカリもある。咲き始めて三角の紫帽子を群生させると、ちょっと異国のガーデン風情。鼻の奥をくすぐる青みがかった甘酸っぱい春の匂い。
 球根の植物は花が終わると掘り返して乾燥させておくと本には書いてあるけれど、そんなことはしないでそっと地中に寝かせてやることにしている。だから、古い株は貧弱な花しか付けなくなるけれど、それも自然な趣。
2010年3月12日 14:38 |コメント3
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絵:杉本歌子 プロフィール
1967年2月13日、京都生まれ。京都芸術短期大学美学美術史卒。現在、京都市指定有形文化財となっている生家の維持保存のため、財団法人奈良屋記念杉本家保存会の学芸員・古文書調査研究主任に従事。植物を中心にした日本画を描いている。画号「歌羊(かよう)」。

受け継いだ京の暮らし 杦庵の「萬覚帳」

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コメント

こんにちは。小学生の時に、水栽培をしました。「錦百合」というのですね。花の形が、百合に似ています。また一つ覚えました。ムスカリは、葡萄の房のような小さな集まりが開くと、可愛らしいです。  今日、植木鉢を移動したらダンゴムシがいました。

「週間しんぶん京都民報」1面の、「京都町家の草木」杉本歌子さんの日本画をいつも楽しみに拝見しています。花の説明もとてもいいです。

 ニシキユリは2~3月の花でしようが、10月頃の人の心にも合いますね。いい気分になれます。早春には、最高です。だんだん暖かくなり、他の花も次々に咲きだし、「百花繚乱」に向かうからです。お家のベランダや明りの多い玄関に置いておくと日ごとに花芽が成長しますね。
 僕も早春はニシキユリを買うことが多いです。家の前に置いているプランタに5~6年前植えたニシキユリが今年も花をつけてくれました。

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