京都民報
なるほど京都

京の菓子暦

茶の湯と京文化に磨かれ、育まれた京の和菓子。四季折々の京の和菓子を紹介します。

甘楽花子 坤庵

7月

夏の花(なつのはな)【白餡、錦玉】

夏の花  夏、暑さの中でも様々な花が目を楽しませてくれます。向日葵のように照り付ける陽光に負けず咲く花もあり、朝顔や木槿(むくげ)のように涼やかな朝のうち、しずかに開く花もあります。とりどりの彩を透けるような花弁にうつして咲いています。
 薄く延した錦玉を折りたたんで、そんな夏の花をつくってみました。
 

白露の玉もて結へる ませのうちに 光さえ添ふ とこなつの花   高倉院御歌


  ※ませ=籬(まがき)のこと

七夕(たなばた)【白餡、葛、大徳寺納豆】

七夕 織姫と牽牛が年に一度出会う七夕。雨が降って水かさが増し、渡れないふたりを哀れみ、無数のカササギが天の川に自分の体で橋を架けたという伝説があります。
 色付した白餡を涼しげな葛で包み、上に載せた大徳寺納豆でカササギの橋を表しました。甘さの中に塩が効き、味をいっそうひきたてています。


鵲の渡せる橋におく霜の しろきを見れば夜ぞ更けにける   大伴家持