京都民報
なるほど京都

京の菓子暦:葉月

茶の湯と京文化に磨かれ、育まれた京の和菓子。四季折々の京の和菓子を紹介します。

甘楽花子 坤庵

8月

袖の露(そでのつゆ)【葛、上白糖、白餡、水】

袖の露あはれまた いかに忍ばむ 袖の露 野原の風に 秋は来にけり
  右衛門督通具

 秋の声を聞く頃、葛焼をつくり始めます。白餡をつかったものは色づけも出来ますが、やはり、白餡、漉し餡だけの、素材の色そのままを生かして使うほうが、秋の侘びた感じがよく出ます。

 夏の間、餡を包んで透明な葛に映える彩を清涼感とともに楽しんだ後、半透明の切り口、上用粉をまぶして焼き目をつけた皮目の香ばしさと、さっくりした喰い口が秋小口の風情を賞味させてくれます。