京都民報
なるほど京都

京の菓子暦:長月

茶の湯と京文化に磨かれ、育まれた京の和菓子。四季折々の京の和菓子を紹介します。

甘楽花子 坤庵

10月

亥の子餅(いのこもち) 【餅、漉し餡】

亥の子餅 旧暦十月の亥(い)の日の亥の刻に亥の子餅を食べると、無病息災と子孫繁栄をもたらすという民間信仰があります。宮中の儀式だった「玄猪(げんちょ)」に由来し、お茶の世界では「炉開き」に使われる菓子です。いのししは火伏せの神の遣いで、陰陽五行では、「水性の陰」で火に勝つとされ、火の災いから守られると伝えられています。
 コロンとした形はいのししを見立てたもの。餡には水あめを入れることで、秋らしいこくを出しています。