ヤマノイモ
「薯蕷」じょうよ。何とも物固い名前です。薯蕷とはどちらもイモを表す漢字で、狭義にはヤマノイモ属のイモを指します。中でも京菓子に使用しますつくね芋は丹波地方の特産品で非常に粘り気が強く、香りも高い肌理細やかな肉質のイモです。
これをすり下ろして上白糖とすり合わせ、更に上用粉と呼ばれる米の粉とねり合わせる事によって粘りと伸びのある生地が出来、これを蒸し上げる事で膨らみと歯切れの良さが生まれます。皆さん良く御存知の上用のおまんの出来上がりです。
またイモを蒸して裏漉しして、上白糖と白餡と練り上げると「練り切り」と呼ばれる、京都独特の素材が出来上がります。イモの粘りと香りが白餡の風味に生かされて、餡で包んでよし、餡を包んでよし、毛通しで通して極細のそぼろにしてきんとんを造ったりと、冬場だけの美味しい素材です。張りの有る上用の生地に湿らせた黒文字を入れると少し抵抗がありますが、中の軟らかな餡と共に二つに分れます。イモの風味と餡の小豆の風味が混ざり合って高雅な甘味を感じさせます。
因みに京菓子の三名物の筆頭はこの上用なのですがそれもうなずけます。
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