ヤマノイモ
「薯蕷」じょうよ。何とも物固い名前です。薯蕷とはどちらもイモを表す漢字で、狭義にはヤマノイモ属のイモを指します。中でも京菓子に使用しますつくね芋は丹波地方の特産品で非常に粘り気が強く、香りも高い肌理細やかな肉質のイモです。
これをすり下ろして上白糖とすり合わせ、更に上用粉と呼ばれる米の粉とねり合わせる事によって粘りと伸びのある生地が出来、これを蒸し上げる事で膨らみと歯切れの良さが生まれます。皆さん良く御存知の上用のおまんの出来上がりです。
またイモを蒸して裏漉しして、上白糖と白餡と練り上げると「練り切り」と呼ばれる、京都独特の素材が出来上がります。イモの粘りと香りが白餡の風味に生かされて、餡で包んでよし、餡を包んでよし、毛通しで通して極細のそぼろにしてきんとんを造ったりと、冬場だけの美味しい素材です。張りの有る上用の生地に湿らせた黒文字を入れると少し抵抗がありますが、中の軟らかな餡と共に二つに分れます。イモの風味と餡の小豆の風味が混ざり合って高雅な甘味を感じさせます。
因みに京菓子の三名物の筆頭はこの上用なのですがそれもうなずけます。
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握り拳みたいな形、スジが深く入っていたり、強いアクがあったり、剥いてみないと良し悪しはわかりません。2
目のつんだ肉質、長芋や自然薯とは少し違います。3
芽や筋を残さぬよう厚めに剥きます。歩留まりは五割強くらいです。4
目の細かいおろし金でおろします。この時粘りの強い弱いが分かります。5
昔は擂り鉢を使いましたが、今は業務用のミキサーとか、このようなパンこね機を使っておろした芋と砂糖をすり合わせます。6
次第に砂糖が芋の中に取り込まれていきます。7
芋と砂糖が充分混ざってから、粘りの強弱によって1分~30秒くらい練って上げます。8
きめ細かい米の粉(上用粉)と先ほどの生地を計量して揉み込むようにして混ぜます。9
餡玉を取るのと同じ要領で生地を切り分けます。10
生地の中から別の色をぼかしたように出すには、このように生地の中へ埋め込みます。11
指先を回転させて餡を生地で包んでゆきます。12
花弁を表現するのに、ヘラで花筋を入れます。13
五倍位に薄めた米酢をかけます。生地が割れるのを予防するためです。粘りの強弱によって薄め方は加減します。14
強火で15分蒸します。下に敷くのは新聞紙(モノクロの面)が一番重宝です。15
蒸しあがったら、底をホットプレートや鉄板でキツネ色程度に焼きます。底がひっつくのを防ぐためですが、ちょっと香ばしい味がして美味しいものです。