きんとん
きんとん、漢字で書くと金団。中国の『西遊記』に出てくる孫悟空の乗る金団雲と同じ字です。そういえばそぼろの形姿が雲が湧き起こる相にも見えます。
こなしと並んで、茶道の発展につれて、数多くの意匠でつくられてきたお菓子です。
杉型や小判型もありますが、ほとんど丸型のつんもりとした形です。そぼろの色づかいと菓銘だけの表現ですので、お店、造り手のセンスと腕の見せどころです。
そぼろは白餡を色づけしたり、白餡と漉し餡を混ぜ合わせて使ったりします。餡が固い時は砂糖蜜でもどして使います。色付けするときはこの時に染めます。合成着色料が主ですが、くちなし、紅花、抹茶等も使います。
特殊な餡を使ったきんとんとしては、栗きんとん、黒糖を使った柴の雪、ねりきりを使った雪餅等があります。
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きんとんの材料です。右が芯の餡玉に使う粒餡。左は白餡で、黄色と赤に染めます。2
白餡をボウルに入れ、少し着色料を入れます。はじめは心がけて薄目ゝゝにします。3
砂糖蜜を加えて4
染めムラの無いようによく混ぜます5
芯の餡玉を均等に切り分け、丸めておきます。6
餡玉はそぼろの台になりますので、できるだけ丸くしておきます。7
竹の篩(ふるい)でそぼろを出します。私共は篩を“通し(とおし)”と呼んでいます。8
掌の使い方で、長くも短くもなります。9
専用の“通し”は、目の荒いものから細かいもの、材料も竹や馬毛などがあります。10
先細の箸を湿らせて、餡玉をはさんで底から上に向かってそぼろを付けてゆきます。11
底の方はしっかりと付けます。12
上の方ほど軽く、空気を含ませるようにふんわりと付けるのがコツです。