京都民報
なるほど京都

京の菓子暦

茶の湯と京文化に磨かれ、育まれた京の和菓子。四季折々の京の和菓子を紹介します。

甘楽花子 坤庵

羊羹舟

 羊羹舟と呼ぶ道具があります。寒天を使った流し物(棹物)をつくる折に使います。
 縦7寸、横1尺2寸、深さ1.5寸(1寸=ほぼ3.1センチ)の大きさの枠の中にステンレスを張った容れ物です。寒天を使って出来る流し物(棹物、今ここでは主として羊羹)練羊羹、小倉羊羹、栗羊羹、道明寺羹、琥珀糖などは全てこの羊羹舟を使ってつくります。
 つくる羊羹によって原材料の配合から煮詰め加減等、異なるのですが、煮詰め加減がピッタリであれば、どの羊羹でも重さは4.5キロになります。羊羹舟より低ければ詰まり過ぎ、逆に盛り越すようであれば詰めが甘い、ということになります。
 各々、一舟分の配合は決まっていますので、流す割合さえ決めておけば、段流しで、二段、三段とか細工した羊羹もつくれます。黒糖入り練羊羹と白の栗羊羹の流し合わせで「くじら羹」、錦玉と味甚(みじん)羹で「岩清水」など、ご自分のアイデアでいろんな羊羹を炊いてみてください。

  • 糸寒天、上白糖、黒糖(代わりにカラメル、シロップでも可)
  • まず寒天だけを煮溶かします。

  • 沸騰して3分ほどそのまま煮ます。その後上白糖のみ入れ、
  • 沸騰したら…

  • 次に黒砂糖を加え、再び沸騰させて煮詰めていきます。黒砂糖は溶け難いので、必ず前もって水に漬けて溶かしておきます。
  • 煮詰め加減は、杓子でたらして見ます。したたり落ちる液が糸を引く状態になったらOKです。

  • 黒糖のアクが浮きますので、
  • 新聞紙で吸い取ってやります。

  • 一気に羊羹舟に流し込みます。
  • 10

    煮詰め加減が合っていれば、羊羹舟に丁度一杯になります。このまま半日ほど自然に冷まします。冷めたら羊羹舟から抜き、切り分けて完成です。


完成

琥珀のように黒く、ぬめっとした透明感が生命です。冷蔵庫でよく冷やして頂くと口当たりの良い甘味と黒糖の香ばしい香りを楽しんでいただけます。口の中ではじけるような寒天の弾力も魅力です。