「ツロクスル」とは、つり合いのとれることをいう。もし、漢字をあてるとすれば、対陸となるのではないか。対(つい)は二つの物、陸(ろく)は水平なことの意をもつ。つまり、二つのもののバランスがとれている場合にいうことばである。「二人はツロクシテいて、エーカップルやワー」とか「この壁には、この紙色がツロクしますナ」などと使用する。京都的なことばと思われるが、九州を除く西日本に広く分布している。ただ、語の歴史は新しく、古い文献にはほとんどでてこない。 雑俳でその経過をみてみよう。まず、陸(ろく)について「ろくに成るお祖母の心念仏から」元禄13年(1700)、「こころよい ろくに寝てきく雨の音」天保10年(1839)とあり、それがやっと「きもが太い 姿とつろくせぬ毒婦」明治36年(1903)に「ツロクスル」とでる。大工さんに聞くと、敷居作りやブロックを積むとき水平にすることを「ロクニスル」という。