年の瀬もせまり、何かと多忙な毎日を過ごしている方も多いのではないでしょうか。
来年(2010年)の干支は寅年です。私事になりますが年男になります。自分の干支だと年賀状に気合いが入るのは私だけでしょうか?
その寅(虎)ですが、百獣の王といわれるほどの猛獣で、古来より魔よけの力があるとされていました。最近ではあまり見ませんが、男児の無事な成長と出世を願い、節句飾りには張り子の虎が必ず飾られていたものです。加藤清正が虎を退治した故事や『国姓爺合戦(こくせんやかっせん)』の和藤内が虎を手懐(てなづ)ける場面などを題材にした人形も五月の節句では飾られます。どちらも虎を取り押さえる力強さが表現されています。
十二支の動物の中でも、ねずみ、牛、うさぎ、へび、馬、猿、鶏、犬、猪などの身近にいる動物たちと違い、虎は日本に生息していません。普段の生活では馴染みの薄い虎ではありますが、縁起物として人気がありました。これは力強さのおかげだと思われます。
写真の寅の土鈴は、力強さとはかけ離れた可愛らしい造形をしています。膝の上に自分の子のように達磨を抱いていてほのぼのとしています。上京区の通称だるま寺(法輪寺)で授与されている干支の土鈴です。法輪寺では毎年、十二支の動物と達磨がセットになった土鈴が授与されています。土鈴収集家の間では有名な話なのですが、一般にはあまり知られていないのかもしれません。今までは白一色の十二支と赤い達磨で紅白となっていたのですが、今回は珍しく寅に黄色と黒の彩色がされています。
法輪寺は、臨済宗妙心寺派別格地の古刹で、通称「達磨寺」と呼ばれています。享保12(1727)年、大愚和尚が開山し、室町の両替商「伊勢屋」荒木光品宗禎の寄進で、七堂伽藍が建立され、荒木宗禎の帰依を受けた萬海和尚によって創建されました。本尊は釈迦如来です。珍しい等身大の金箔大寝釈迦木像などもあります。
特に有名なのは、三国随一といわれる起き上がりの達磨をはじめ、諸願成就に奉納された八千体に及ぶ達磨を祀っている達磨堂です。「七転び八起き」の達磨にあやかり、失敗しても自力でやり通せるようになりたいものです。