団体交渉
「理不尽な理由あげてクビ」―ワンマン社長に一泡吹かせたいと老舗の従業員
団体交渉で解雇やめさす
「今までにたくさんの人が社長の一存で理由もなく辞めさせられたのを見てきたのでどうしても泣き寝入りしたくないのです」。 突然社長から 「クビだ」 といわれた中京区の老舗そば屋で8年間働く女性Sさん (36) は、 切々と訴えました。 ワンマン社長にどうしても一泡吹かせたいとの相談。 そこでアドバイスは 「組合に入って団交しましょう」。
難癖つけ有給休暇も認めず
経過はこうです。 ある日Sさんは、 社長に呼ばれ支店への転勤を通告されました。Sさんは母の介護があり転勤によって時間が変則になる勤務にはつけません。それを理由に断ると社長は 「退職か転勤かとどちらかをとるように」と脅し、Sさんがどうしても転勤は受けられないと固辞するといきなり 「クビだ」。
あげくに社長は、Sさんの日頃の仕事ぶりを持ち出し、8年間も働いているのに「人の上に立って指導しない」「後輩を育てられない」 と難癖をつけ、とうとうSさんは退職せざるをえませんでした。
「せめて残っている有給休暇を取ってから辞めたいといったのですが、それも認められず、こちらの都合も聞かずに勝手に退職日を決め、辞めさせられたんですよ」。
労働局のあっせん拒否する
Sさんは納得いかず労働局に事情を説明して指導してもらいました。しかし、社長は、聞く耳もたず。そこで労働相談センターの門をたたいたのです。
相談員は 「1人でも入れる労働組合に入って社長と団体交渉ができるようにしましょう」 とアドバイスしました。
団体交渉には、労働局のあっせんは拒否した社長も応じざるを得ず、3回の交渉を通じて、転勤の明確な理由がなく、また有給休暇がとれない根拠もないことが明らかになりました。
ついに社長は折れ、この間の生活保障をし、転勤に応じ母の介護に支障のない勤務時間で復帰することを認めさせました。
Sさんは、「個人の力では限界があります。労働者の権利を守る労働組合の力は大きいと思います」と喜んでいます。
(「週刊しんぶん京都民報」2004年11月14日付)