退職金
(協力:京都労働相談センター)
「退職金規定ないので払わん」─勤続28年会社に尽くした男性ら怒る
貢献度から要求は当然
「うちは退職金の規定ないので払わへんで」。
土産物の竹細工製造する会社の社長が、突然廃業すると宣言しました。
長年働いていた男性社員のTさん(58)は、
「そんなあほな。なんとか退職金出してもらわんと困るわ」と労働相談センターに駆け込みました。
さてこんな場合どうなるのか?
社長が社員全員に「廃業するので、年末に全員を解雇する。退職金の規定はないので支払わない」と発表したのは11月のこと。
勤続28年のTさんは、「会社に貢献してきたのにあんまりや。突然解雇されても生活にも困る」と悲鳴をあげました。
同じ思いをもつ勤続20年の女性社員(68)と勤続9年の男性社員とともに労働相談センターを訪れました。
年数長ければ貢献している
3人から事情を聞いた相談員は、「退職金は就業規則で規定がなくても勤続年数が長ければそれだけ企業への貢献度も高いわけですから要求する権利は当然あります」と説明しました。法律では退職金の支払いが義務づけられておらず、個人で要求しても拒否されたらそれまでなので、相談員は「労働組合に加入して団体交渉しましょう」とアドバイスしました。
3人はさっそく建交労(全日本建設交通一般労働組合京都府本部)に加入。社長宅で団体交渉にのぞみ、
「なぜ廃業するのか説明が不十分だ」「勤続年数が長く会社への貢献度も高い社員へ経営責任をどう果たすのか」
「規定がなくても退職金を支給せよ」と追及しました。
社長はこれに答えられず、交渉の翌日3人に合計180万円を支払うという回答を示しました。
3人は納得し、和解解決しました。 (「週刊しんぶん京都民報」2005年1月16日付)