黙示の指示
「仕事が遅いから」と残業代払わない社長
未払いは労基法違反
仕出し屋に勤める男性社員のKさん(48)は、月平均100時間を超える長時間残業をしているにもかかわらず残業代が一円も支払われない状態が長期にわたって続いています。支払うよう社長に頼んだら、
「仕事が遅いからだ」と聞き入れられないうえに解雇通告までうけました。
納得いかないという思いが募ったKさんは立ちあがりました。
月100時間のタダ働きで
Kさんは、調理場の責任者として正社員で採用され4年間になります。
調理場はKさんを含めて3人。仕出し弁当の注文が入ると下準備のため遅くまで残業したうえに、
翌朝も早くから出勤しなければ間に合わせることのできない仕事量です。
休暇と決まっていた日にも出勤する日が続くのもざら。
仕事の定時は、朝9時から午後5時まで、残業代の支払いは一切ありませんでした。
Kさんによると過去2年間の残業時間は2000時間を超えており、1カ月に約100時間残業していたことになります。
文句を言えば「辞めてくれ」
会社側の言い分は「段取りよくやれば、残業しなくても済むはず」と突っぱねました。
おまけに「会社の方針で若い人に仕事をまかせたい。だから辞めて欲しい」と解雇まで通告されました。
どうしたらいいものかと悩んでいましたが、以前、宇治市職労が行った市政要求アンケートに、
労働相談センターの連絡先がのっていたのを思い出し相談に行きました。
事情を聞いた相談員は、「会社側の解雇の理由に正当性はありません。
使用者は、所定労働時間外に働いた労働時間にみあう賃金を支払わなくてはなりません。
支払わないのは労働基準法違反です。労働組合に入って団体交渉しましょう」とアドバイスしました。
Kさんは、全国一般労働組合に入り、まず、労働基準監督署に申告。
指導を求め、解決できなければ団体交渉することにしました。
(「週刊しんぶん京都民報」2005年2月6日付)