顔見世の花街総見

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20071212_bento.jpg 芝居見物に付き物の楽しみといえば、やっぱりこれだろうか。か、べ、す。歌舞伎芝居用語のひとつで、「かし(菓子)」、「べんとう(弁当)」、「すし(鮨)」の頭をとった略称である。空腹で歌舞伎を見ても面白くない。江戸時代、ふつうの客は木戸から入って、かべすを取り寄せる習慣だった。
 美味しいものを口にして、芝居を見るのは最高の贅沢である。この頃は残念なことに、観劇中は飲食禁止となっている。弁当を開く音やバリバリ煎餅をかじる音は、はた迷惑かもしれない。けれど、文学座の太地喜和子は「お弁当の手を止めさせてくるね」と言って舞台に登場したとか。凄腕の役者は、それだけ自信をもっていたのだから、弁当くらい自由でもよいのではないか。
 また今も昔も変わらないのが、衣装くらべである。劇場ロビーは、目も綾なす色彩の華が咲く。一張羅を着て、めかし込んで出かけるのが庶民の習わしだった。かの夏目漱石も「硝子戸の中」で姉たちの芝居見物の模様を記している。
 おそらく明治初年であろうが、猿若町の芝居小屋へゆくのに、夜中から晴れ着を身にまとい、屋根船でゆるゆると出かけたのである。芝居小屋に到着すると、高土間の席に坐る。ここは服装(なり)飾りが一番他人の目につくところで、派手好みは争って手に入れたという。女心は、みな同じ。やっぱり誰かに見てもらいたい。できれば、綺麗と言ってもらいたい。
 南座でいえば桟敷がそれにあたる。顔見世では花街総見といって、宮川町、先斗町、祇園東、甲部、上七軒の芸妓舞妓たちが、芸の研鑽を積むために桟敷席に居並ぶ。
 そのあでやかさはまさに目の正月、舞台の延長にも見えるほどだ。

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07/12/12│歌舞伎のツボ

コメント

こんにちは。
か、べ、す ですか。おもしろいですね~。確かにお芝居を見に行って幕間に頂く食べ物は、とっても贅沢で幸せな気持ちにしてくれます。私が東京の歌舞伎座で出会った「か」は、「おめでたい焼き」です。これは中に紅白の白玉が入っていて、とってもオメデタイ一品でした。売店で見つけて食べたときは「おお~っ!」と思いました。歌舞伎のツボ、私のツボにはまりつつあります。次回も楽しみにしていまーす。

「歌舞伎よりどりみどり」を早速拝読!

お書きになる春香さんのご苦労はそっちのけで、とっても面白くって更新されるのが待ち遠しくなります。

今年は顔見世のチケットを戴きましたので私も観て参りました。
御招待だったので初めて一等席で観ましたが、やっぱり座席の幅が無くてエコノミー症候群になりそうでしたぁ…

お正月なので振袖のお嬢さんや着物姿のご婦人もたくさん目に付き華やかな観客席で、舞台以外にオマケが付いたようで嬉しく思いました。
でも心から楽しむには「座席」が一番肝心な気もしました。

次の「お話」を楽しみにしています。
ありがとうございました。

URL、てのが、わかりません。春香さんに、手紙やはがきで、ファンレターを出しています。そのうち、ファンメールも届くようになるでしょう。いつか、近い将来、ごいっしょに観劇したいです!