役者模様

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 役者の名前を冠した模様や色は様々ある。
 菊五郎縞は、四本と五本の縞を格子に組みその目にキと呂の文字を交互に置いて「キ九五呂」、つまり菊五郎と表す。
 芝翫縞(しかんじま)は、四本の縦縞と鐶(わ)をつないだ模様。「双蝶々曲輪日記」(ふたつちょうちょうくるわにっき)で放駒長吉に扮した中村歌右衛門(俳名芝翫)がその衣裳に用いてから流行した。
 半四郎鹿子は、麻の葉模様の鹿子絞りであるし、太申染(たいしんぞめ)という篆書の模様はそれを着た役者の名前から伝九郎染といわれる。
 この他にも江戸期には芝翫茶、璃寛茶(りかんちゃ)、路考茶(ろこうちゃ)など歌舞伎役者の名前をつけた茶色が流行している。いずれもくすんだ茶色で、当時の人々がかなり屈折した好みを持っていたことがうかがえて面白い。

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08/09/01│歌舞伎まめ知識