和布ものがたり
「紅型染」 沖縄
青い海と空と太陽に恵まれた沖縄。おおらかな民族性はそのような自然から生まれてきたのでしょうか。泡盛を飲みながら三線を弾き踊り唄う人々が目に浮かびます。沖縄は琉球王朝の昔から独自の文化と歴史を育んできました。紅型染は、琉球特有の染織です。鮮やかで力強い彩色は、この島の自然と人々を、そのまま表現しているように思えます。かつて華麗な王朝文化が花開いていた頃も、女性たちは紅型の衣を身につけ優美に舞っていたのでしょう。
太平洋戦争での沖縄戦を経て、1972年の本土復帰。沖縄の人々は、アメリカ軍の基地との関係で苦悩し続けてきました。そして、悲しい思いをいっぱい重ねてきました。その歴史を感じながら紅型染を見ていると、沖縄の人たちの心が少しずつ伝わってくるように思います。