和布ものがたり
小鳥のカバン
森の中の小鳥たち。仲良く春の日差しを浴びています。水色のカバンは縮緬に本場奄美大島紬と絞りの着物地を使いました。赤色のカバンは大島で統一し、本場奄美と村山大島でまとめてみました。
織の紬地と絞りや縮緬は制作過程も風合いも異なりますが、作品の中では自然に寄り添っています。全国各地の織物が小鳥の中でコラボレーションして、まるで織物の見本帳です。
小鳥のカバンは18年前から作り始めました。当時は小鳥のデザインが気に入って綿地を使っていました。その後、着物を通して出会った方々の思いが伝わる中で、私の中で布へのこだわりが強くなってきました。亡き母親の着物、手縫いで継がれた絣の仕事着、新しい織物などいろいろな人の手を通ってきた着物地が、1つのカバンの中でよみがえりました。