和布ものがたり
よみがえった母の思い出─焼けた帯から和小物を
火事で焼け、水に濡れたお母様の思い出の帯を作品にして、姉妹で残したい、そんな依頼が舞い込んだのは半年前。送られてきた帯は、焼けて変色しており、見ると胸が痛み、なかなかと手が付けられませんでした。
帯の柄は宝尽くしや鶴、松竹梅などおめでたい文様が織りこまれています。使える部分を生かしながら、姉妹に1つずつ、和のバッグ、額絵、敷物、ポーチを再生しました。中でも痛みが少なかったグリーンの帯はほとんど生かすことができました。それはお母様が一番大事にされていた帯らしく、喜ばれました。
依頼主の女性は「両端が焦げた母の形見の帯を見るたびにつらく、思い出を封印してきました。姉と何とかしたいとネット検索しているうちに、京都民報Webで再生の仕事をしておられる人を見つけ、ご縁が結べました。こんなに素敵な額絵やバッグになり、着物が大好きだった母も喜んでいると思います。本当にありがとうございました」と話しておられます。