和布ものがたり
「百済観音像」平和のタペストリー
以前、私の息子の協力で制作した「昆虫のタペストリー」を紹介させていただきました。今回は、娘とともに作ったタペストリーを紹介させていただきます。
画面中心の円形の中には「百済観音像」と「狛犬」が、ステッチの技法で表現されています。全て、彼女が自己流でやりとげました。全体構成と地蔵様は私が協力し、2人で仕上げました。上には2人の「お地蔵様」、下には3人の「お地蔵様」が静かに、平和を祈っております。その周辺には、やさしい色合いの名物裂がたくさん寄り添い語り合っています。左右には、西陣で織られた2種類の帯がきれいな色でひきしめています。
いろいろな方の「平和への思い」を「千人針」にしようと、右上の小さな円の中には、ひと針ひと針の願いがこめられています。その中の1針に「有馬賴底(頼底)」さんのも含まれています。まだ、150人位ですが…。
「百済観音像」を通して、日本と朝鮮を考える時、歴史の中での深い関係をつくづく感じます。娘は、この作品を作る事によって、亡き祖父の祖国を少しでも身近に感じる事ができたのではないでしょうか。(アトリエのぶ 内田信子)
作品サイズ:w179センチ×h157センチ