南ア、9トライ猛攻も不安残る勝利
テストマッチ2008 南アフリカ‐アルゼンチン(8月9日、南アフリカ・ヨハネスブルク)
昨年W杯チャンピオンに輝いた南ア。一方、開催国フランスを2度破って史上最高の3位になり、優勝した南アから主役の座を奪ったアルゼンチン。トライネイションズの束の間の休息にW杯準決勝の再現となる注目の一戦となった。
キックオフから南アはパワー全開。ディフェンス、オフェンス双方共に単純なパワーでは圧倒できることを見せつける。しかしアルゼンチンは、W杯での躍進の大きな要因となった低く、強いタックルと、NO8レギサモン筆頭に驚異的な2人目の寄りの早さを見せ、南アのチャンスをことごとくターンオーバー。南アに全くゲームを作らせない。
南アがアルゼンチン陣へ深く入り込むも、ボールをこぼし、大きく蹴り返される。南アはそこでペナルティを犯してしまう。2分、8分、24分と立て続けに3本のPGをアルゼンチンSOフェリペ・コンテポーミに決められ、0-9と苦しい展開に。
しかし31分、アルゼンチン陣10mでの南アボールスクラム。SHジャニュアリーのパスが大きく乱れるも、今季絶好調のCTBデビリアスがカバー。アルゼンチンディフェンスの乱れを見逃さず一気にゲイン。フォローについたCTBジェイコブスにつなぎトライ。コンバージョンも決まり7-9とする。
このトライを機にここまで南アを完全に封じ込めていたアルゼンチンの動きがパタリと止まってしまう。
直後のキックオフ。デビリアスの好パスからWTBノクウェが大幅ゲイン。アルゼンチン陣で得たラインアウトから再びノクウェがブラインドサイドをゲインしトライ。コンバージョンも決まり、14‐9と南アのリードで前半を終える。
後半開始早々、南アWTBピーターセンがディフェンスの裏にボールを蹴りこむ。そこへ100m10秒7の剛脚NO8スピースが圧倒的な速さでアルゼンチンディフェンダーを置き去りにしボールを拾い、そのままトライ。完全復活を思わせる。
一方アルゼンチンの動きは止まったまま。前半30分までの驚異的なディフェンスは見る影も無く、勢いづいた南アになすすべがない。南アは好調ジェイコブス、HOビスマルクらの活躍で次々にトライを重ねていく。前半31分のトライから連続9トライの猛攻を見せ、終わってみれば63‐9と両国間の最多得点、最多得点差を更新。次週から再開されるトライネイションズへ向け、チームを勢いづける結果となった。
スコアだけを見れば南アが強さを見せつけたということになる。しかし、前半の30分間、南アは幾度もターンオーバーを許し、主導権を握ることができなかった。個々のパワーがあるが故にどうしても前に出すぎ、無理な体勢で倒れてしまう。ボールキャリアーのボディーコントロール、2人目のオーバーの技術。この1人目、2人目のボールを生かすための技術に確実性が無いことは明らかである。この点を改善できれば鬼に金棒なのだが、それでも勝ててしまうが故に、改善される日は遠いだろう。
最終スコアは63(9T9G)-9(3PG)